研究課題/領域番号 |
20K18827
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
坂中 哲人 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (90815557)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 口腔細菌 / 食 / 機能性代謝物 / 歯周病 / 口腔細菌叢 / 食習慣 |
研究開始時の研究の概要 |
食を介した口腔細菌叢と宿主の相互作用については,発酵性糖質を介したう蝕の病態形成を除き,まだまだ未解明の点が多い。特に,食と口腔細菌叢のクロストークがもう一つの口腔疾患である歯周病や,全身の健康状態に及ぼす影響についてはほとんどわかっていない。一方,質量分析技術の発展により,生体機能や病原性に影響を与える機能性代謝物の同定が進んでいる。本研究ではこの点に着目して口腔細菌叢と食のケミカルクロストークを読み解き,新規の歯周病病因論の創出を目指す。
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研究実績の概要 |
近年、食と腸内細菌叢の相互作用を介して産生される代謝物(メタボライト)が、宿主の様々な生理機能や疾患傾向に影響を及ぼすことが見出されている。消化器官の入り口である口腔には腸内に匹敵する豊かで複雑な細菌叢が存在し、真っ先に食物に対峙するにも関わらず、摂食の過程で生理活性を有するメタボライトが産生され、口腔や全身の健康への影響に関する詳細はほとんど分かっていない。 食品が歯間部に挟まり歯肉縁から歯肉溝内にかけてその残渣物が長期間留置されると、歯肉の炎症を来し垂直性骨吸収を伴う歯周病発症の端緒となることが古くから知られている。この食片圧入による歯周炎の発症については、機械的刺激を主要因とする持続的な炎症性破壊によるものと考えられ、歯肉溝内で食物と口腔細菌叢の相互作用の結果産生されるメタボライトが潜在的に持つインパクトについて考慮してこなかった。本研究ではこうした背景のもと、口腔細菌叢と食の相互作用に注目し、メタボライトを網羅的に測定する技術であるメタボロミクスを活用し、口腔細菌による食の代謝が歯周病発症に寄与するという仮説の検証を行う。 これまでに、特定の食品と代表的口腔細菌のin vitro共培養システムを構築し、上清中の代謝物プロファイルの変動と口腔細菌の増殖率の変化を調べ、各食品に対する口腔細菌の代謝特性、および環境中へのメタボライト産生能を評価している。その結果、特定の食品と口腔細菌を組み合わせた際に顕著に増加するメタボライトを複数同定し、それらを代表的な歯周病菌であるPorphyromonas gingivalisに作用させ、バイオフィルム形成能など、その病原性に及ぼす影響を評価している。また、被験者から採取した歯垢を食品と一定時間共培養し、細菌叢の構成や代謝物プロファイルの変動を解析することで、in vitro共培養実験で得られた結果の妥当性を検証している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
基礎学的な実験的研究に関しては、特定の食品と代表的口腔細菌のin vitro共培養システムを構築し、上清中の代謝物プロファイルの変動と口腔細菌の増殖率の変化を調べ、各食品に対する口腔細菌の代謝特性、および環境中へのメタボライト産生能を評価している。その結果、ビタミン、補酵素、アミノ酸など、特定の食品と口腔細菌を組み合わせた際に顕著に増加するメタボライトを複数同定し、それらを代表的な歯周病菌であるPorphyromonas gingivalisに作用させ、バイオフィルム形成能など、その病原性に及ぼす影響を評価している。また、ヒト臨床検体を用いた検証については、歯垢のサンプリング、および被験者の口腔の臨床指標の記録・収集を完了し、得られたサンプルを食品と一定時間共培養し、細菌叢の構成や代謝物プロファイルの変動を解析することで、in vitro共培養実験で得られた結果の妥当性の検証を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り研究を遂行する。基礎学的な実験的研究については、歯周病原性に影響を及ぼす候補代謝物の探索・同定を進める。特に、これまでに見出された候補代謝物について、P. gingivalisへの影響を多角的に評価することに注力し、歯周病原性に影響を及ぼす機能性代謝物の同定を目指す。また臨床的研究については、引き続き機能性代謝物による細菌叢構成割合の変化や代謝物プロファイルの変動の解析を進める。特に、これまで注力してきたメタボローム解析に加え、次世代シークエンサーを用いた口腔細菌叢の構成および機能解析に本格的に取り組み、食物と口腔細菌叢の相互作用をメタボライト・菌種レベルで解き明かすことを目標とし、本研究で提唱するモデルの妥当性を検証する。
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