研究課題/領域番号 |
20K18842
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
東端 孝博 筑波大学, 附属病院, 病院助教 (60869577)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 看護師 / 共感満足 / 終末期ケア / 職場環境 / 緩和ケア病棟 / 訪問看護 / 緩和ケア / ケアの質 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、看護師の共感満足と質の高い終末期ケアの両立を実現するための職場環境の因子の探索を主要な目的とする。共感満足とは「人々を援助することや職務をうまく行うことにより得られる職業的な喜び」と定義される。対象は一般病棟、緩和ケア病棟に勤務する看護師、および訪問看護師とし、多施設にて質問票による調査を実施する。本研究により、患者への質の高い終末期ケアの提供と同時に、看護師の共感満足の向上を通じて、持続可能な職場環境の構築を実現させる。
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研究実績の概要 |
当該年度は、本研究「緩和ケアを実践する看護師の共感満足と質の高い終末期ケアを両立できる職場環境」の研究計画に基づき、一般病棟、緩和ケア病棟、訪問看護のいずれかに所属する看護師を対象にオンライン調査を実施した。本研究の主目的である、両者を両立するために必要な職場環境の因子の探索のため、主要評価項目の共感満(Professional Quality of Life Scale日本語版)と終末期ケアの質(看護師評価)に加えて、職場環境因子の評価として、個人と仕事のミスマッチ領域(仕事の負担、裁量権、報酬、共同体、公平性、価値観)を測定するAreas for Worklife Survey (AWS)の日本語版を用いた。
オンライン調査は2022年8月から9月にかけて行われた。オンライン調査へのアクセス方法を記載したパンフレットを配布した828名の看護師のうち、385名の看護師から回答を得た。看護師の回答率はそれぞれ一般病棟 25.2%(98名/389名)、緩和ケア病棟51.2%(131名/256名)、訪問看護69.4%(129名/186名)であった。調査より得られたデータは直ちに解析され、それぞれの職場において共感満足や終末期ケアの質と関連する職場環境の因子の探索に用いられた。その結果、共感満足と関連する職場環境の因子としては、一般病棟では価値観、緩和ケア病棟では報酬と仕事の負担、訪問看護では共同体とコントロールが同定され、職場ごとに異なる因子が関連することが分かった。一方、終末期ケアの質と関連する因子としては、一般病棟では仕事の負担、緩和ケア病棟では共同体が有意に関連していたが、訪問看護においては終末期ケアの質と関連する因子は同定されなかった。またどの職場においても、共感満足と終末期ケアの質の両者に関連する職場環境の因子は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年8月から9月にかけてオンライン調査を実施し、直ちに解析した後、論文執筆を行った。「Work environmental factors associated with compassion satisfaction and end-of-life care quality among nurses in general wards, palliative care units, and home care settings: A cross-sectional surveyと題した論文を2022年12月に英文誌であるInternational Journal of Nursing Studiesに投稿し、査読を経て2023年4月に受理された。
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今後の研究の推進方策 |
今後は本研究で得られたデータの二次解析を行い、新たな知見の創出を目指す。具体的には、看護師の職業上のQOLに関して、共感満足以外のバーンアウトや二次的トラウマティックストレスについても職場間比較や職場ごとの解析を行う予定である。
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