研究課題/領域番号 |
20K18850
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
|
研究機関 | 横浜市立大学 (2021-2022) 京都大学 (2020) |
研究代表者 |
原 広司 横浜市立大学, 国際商学部, 准教授 (60824985)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | QOL / 組織文化 / 介護の質 / WHO-5 / EQ-5D |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は介護事業所における介護の質および組織文化を大規模に調査、可視化し、その関連を明らかにすることで、介護の質向上に寄与することを目的とする。介護事業所の利用者に対しては介護の質(要介護度、サービス満足度、QOL、精神的健康、幸福感等)を質問票で測定し、職員に対しては組織文化質問票を用いて調査を行う。これらを同一の介護事業所で測定し、介護の質と組織文化の関連について多変量解析等を用いて検証する。本研究を通じて、介護の質の重要な基礎データが明らかになり、さらには介護の質向上に向けた組織文化の改善といった実践的な示唆が得られる。
|
研究実績の概要 |
本研究は、介護事業所における介護の質および組織文化を大規模に調査、可視化し、その関連を明らかにすることで、介護の質向上に寄与することを目的にしている。医療においては、職員の組織文化と医療の質に関連があることが明らかになっているが、介護ではこれらの関係性の検証は行われていない。 本研究では、全国の介護施設の職員および利用者に対して、大規模なアンケート調査を行った。さらに、モニターに対するインターネット調査で、介護職員に対する詳細なアンケート調査も行っている。 上記のデータを用いて、利用者のQOLの経年変化および介護事業所の職員組織文化との関連について分析を行った。これらより、利用者QOLスコアは経年で徐々に低下していた。また、QOL指標のWHO-5スコアは1年間で約3.3%低下、EQ-5Dスコアは1年間で約4.7%低下していた。とくに、EQ-5Dスコアでは要介護3以上で悪化しやすく、WHO5スコアでは要支援2と要介護5で悪化しやすいことが明らかになった。また、介護事業所の職員組織文化は、利用者のQOLと正の関係があることが示唆された。 これまで回収したデータの整備および解析、得られた結果をまとめ、国際誌への投稿を行った。BMC Geriatricsに"Measuring the quality of life of long-term care service users in Japan: a cross-sectional questionnaire study"を投稿し、アクセプトされている。本論文は、日本の介護利用者に対して、QOL指標としてWHO-5およびEQ-5Dを測定し、要介護度別の比較などを行っている。そのほかの研究成果も学術論文にまとめ、発表を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響により、介護施設への調査などに遅れが生じ、データ整備やデータ解析に着手するまでにタイムラグが生じた。しかしながら、必要なデータの収集は終えたため、今年度はこれまでの研究成果を取りまとめ、論文等で発表する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、これまで介護施設から回収した職員の組織文化および利用者のQOL等に関するデータを用いて、研究論文の投稿を行う予定である。具体的には、QOLと組織文化に関連に関する論文および職員のワーク・エンゲージメント等に関する学術論文を投稿する予定である。 さらに、介護施設への追加調査なども行う。具体的には、医療機関連携と介護の質の関係に関する実態を調査する。
|