研究課題/領域番号 |
20K18870
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
野村 理 弘前大学, 医学研究科, 助教 (20866222)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 感情 / 感情尺度 / 教育心理学 / 医療者教育 / 医学教育 / 達成感情 / ラーニング・サイエンス / 制御価値理論 / 臨床推論 / 統制価値理論 |
研究開始時の研究の概要 |
医師および医学生の感情は、自身のパフォーマンスに大きく影響する。しかしながら、日本国内では医学教育に特化した感情を測定する尺度は存在せず、十分な研究がなされていない。本研究は、開発された日本語版医学教育感情尺度の妥当性を段階的に検証するものである。日本の医学生を対象に、臨床推論を用いた学習環境を中心に感情データを収集および評価し、日本国内の医学教育感情研究を発展させるツールを開発する。
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研究実績の概要 |
2021年のアジア救急医学会で発表した、コロナ禍で注目されている遠隔シミュレーション教育の有効性を医学教育感情尺度を用いて評価し、遠隔シミュレーションの効果は通常の対面シミュレーションと同等である可能性が示され、その成果を欧文原著論文として2023年に出版した。 また、感情の帰属因子とされる動機づけを評価するための尺度の妥当性検証も並行して実施し、その成果を欧文原著論文として2023年に出版した。 次に、医学生約120名の臨床推論におけるProblem-based learningをセッティングとした医学教育感情尺度のデータ収集を実施し、Problem-based learningでのチューターが教員と学生とで実施した場合の受講生に生じる感情のパターンが同等であることを示し、感情尺度は教育手法の有効性評価にも活用できることを2022年医学教育学会で発表し、現在、国際雑誌に原著論文を投稿中である。 そして、2022年アジア太平洋医学教育学会で発表した医学教育感情尺度の因子分析結果について海外研究協力者と原著論文執筆をし、医学教育国際雑誌に投稿準備中である。 さらには、小児救急領域での小児救急関連の学習者の臨床推論能力と医学教育感情尺度で測定された感情群との関連について、卒後専門教育レベルでの臨床的パフォーマンスと感情との関連についての新たな知見を得て、2022年国際救急医学会において発表し、現在、欧文原著論文執筆中である。現在、救急領域での臨床状況での感情尺度データ収集を終了し、解析を実施している。総じて、卒前から卒後教育、臨床現場までに至るまで多様な教育セッティングにおいて尺度測定を行い、妥当性検証を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時には、最終年度に医学校の多施設からのデータ収集による妥当性検証を計画していたが、コロナ禍での複数施設訪問を要する大規模データ収集による研究結果の一般化は現実的ではないと判断された。代替となるデータの妥当性検証の手法として、自己回答式尺度の主観性という欠点を補うために、皮膚活動電位を測定する生体センサーによる感情データを統合解析する多角的データ収集により一般化を図る方策とした。そのため、医学教育領域での生体センサーを用いた感情研究をリードしているカナダのマギル大学に訪問し、そのデータ収集及び解析手法を修得し、日本国内自施設でのデータ収集を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
生体センサーによる感情データ収集および解析を実施し、多面的データ収集による妥当性検証を強化するために研究期間を1年延長する。これにより、研究成果の一般化を促進し、国際的にも価値のある知見を発信することが可能となる。
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