研究課題/領域番号 |
20K18872
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大久保 麗子 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (20829014)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 要介護高齢者 / 歯周病治療 / 誤嚥性肺炎 / 費用効果分析 / 経済評価 / 歯周病 |
研究開始時の研究の概要 |
誤嚥性肺炎は高齢者に多く、特に要介護高齢者は発症のリスクが高い。誤嚥性肺炎と歯周病は関連が強く、歯周病治療は誤嚥性肺炎の予防法の一つとして注目されている。わが国では超高齢社会に向けて地域包括ケアシステムの構築が進められているが、誤嚥性肺炎の予防も併せて進めていく必要があり、歯科医療も在宅医療の一部として機能することが求められている。しかし、日本社会全体での歯周病治療の認知度は低く、完全な経済評価である費用効果分析も行われていない。本研究では、要介護高齢者に対する歯周病治療の普及による誤嚥性肺炎の予防がについての費用効果分析と財源影響分析を行い、質の高い経済エビデンスを提示する。
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研究実績の概要 |
2021年度までに文献レビュー、特別養護老人ホームの実態調査を終えた。 2022年度は、要介護高齢者に対する専門的口腔ケアの費用について、訪問歯科診療に関する書籍及び歯科専門家の意見をもとに、歯科診療報酬を積み上げて1か月あたりの費用を算出した。経済評価専用の経済ソフト(Tree Age pro)を用いて作成した判断樹とマルコフモデルに収集した変数データを投入し、施設入所中の要介護高齢者に対する専門的口腔ケアに関する費用効果分析を行った。その結果、増分費用効果比は4,079,313円/QALYとなり、日本において評価基準とされる閾値500万/QALYと比較すると、費用対効果に優れる結果となった。感度分析を行い、用いた変数の頑健性を確認した。 結果をまとめて国際学術誌Journal of the American Geriatrics Society(IF:7.538)に投稿し2022年10月18日アクセプトされた。本論文は国内で初めての要介護高齢者の歯科診療に関する経済評価であり、専門的口腔ケアの普及が誤嚥性肺炎の予防に有効な政策であるという、政策決定を支援するための経済エビデンスとなりうる。また、高齢者診療や呼吸器診療における歯科診療に関する診療ガイドライン作成にも大きな影響を与えるものである。要介護高齢者の歯科診療のニーズは高いものの、特別養護老人ホームにおける専門的口腔ケア実施率は月4回以上は28.9%といまだ低い現状であり(令和元年度介護保険施設アンケート調査)、実施率の向上にも貢献できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
費用効果分析を行い、結果をまとめて国際学術誌に投稿することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
在宅の要介護高齢者に対しての専門的口腔ケアに関する費用効果分析を行う。
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