研究課題/領域番号 |
20K18905
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
樋泉 道子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (00778623)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 百日咳 / serosurvey / ベトナム / seroprevalence / ワクチン / 臨床疫学 / 公衆衛生 |
研究開始時の研究の概要 |
百日咳ワクチン導入から30年が経過したベトナムにおいて、都市部における2年間の新たな百日咳感染発生および抗体減衰の推定、山間部における年齢別百日咳感染発生率の推定、都市部と山間部との年齢別百日咳感染発生率の比較および共通したリスク因子の解明を行う。 これにより、途上国の医療遠隔地におけるワクチン導入後の百日咳発生パターンと百日咳罹患リスク因子を明らかにし、同地における適切なブースター接種対象者を検討、より良い百日咳コントロールを提案する。
|
研究実績の概要 |
【山間部百日咳感染発生率調査】 2019年クアンガイ省(山間部)において、1216人(0-2歳 87人、3-5歳 182人、6-15歳 299人、16-25歳 158人、26-35歳 292人、36-55歳 198人)より乾燥ろ紙血、臨床疫学情報を収集し年齢グループ別百日咳毒素抗体保有率、抗体価調査をおこなった。ワクチンの影響が小さいといわれる3歳以上(n=1129)で検討すると、各年齢グループ(3-5歳、6-15歳、16-25歳、26-35歳、36-55歳)で、一年以内の感染を示唆する62.5IU/ml以上は各々9.9%、11.4%、7.6%、7.2%、9.6%、幾何平均抗体価(GMT)は各々13.3IU/ml、15.7IU/ml、15.5IU/ml、15.2IU/ml、15.9IU/mlと、年齢グループ間で抗体保有率および抗体価に大きな差はなく、同地域において幅広い年齢層が百日咳菌に暴露されていることがわかった。 【都市部・山間部百日咳発生リスク因子】 2017年のニャチャン(都市部)と2019年クアンガイ(山間部)のそれぞれの調査で、一年以内の感染を示唆する62.5IU/ml以上となるリスク因子を多変量ロジスティック回帰分析により明らかにした。クアンガイでは百日咳と診断されたことがあること、長く続く咳や痙咳発作の既往、喫煙のある人でが有意に62.5IU/ml以上となりやすかった。ニャチャンでもクアンガイでも、DPTワクチン歴、学校や集団保育への参加、5人以上の家族はリスク因子とならなかった。 【都市部の個人における百日咳毒素抗体の変化】 2017年のニャチャンにおける調査対象のうち306人を2019年に追跡調査できた。抗体価はこの2年で上昇傾向にあった(2019年抗体価の2017年抗体価に対する比:1.45, 95% CI 1.29-1.62)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度に新型コロナウイルス蔓延によるベトナム渡航困難および検査試薬送付困難のためおこなえなかった、クアンガイの百日咳毒素抗体価測定を令和3年度はおこなうことができた。令和4年度にはほぼ全ての検査を終了できたので、現在解析をすすめている。
|
今後の研究の推進方策 |
ニャチャン(都市部)の年齢層別百日咳感染発生率推定、クアンガイ(山間部)の年齢層別百日咳感染発生率推定と、各々また共通したリスク因子推定、ニャチャンの2017年・2019年ペア血清の抗体価の比較による2年間の新たな百日咳感染発生および抗体の減衰の推定の解析を深める。また、本研究で得られた情報を用いた数学的モデリングにより対象地域での百日咳発生予測が可能かどうか検討する。以上の内容の論文を執筆・投稿する。
|