研究課題/領域番号 |
20K18923
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 富山県衛生研究所 |
研究代表者 |
安川 和志 富山県衛生研究所, 化学部, 主任研究員 (00737835)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 遺伝子型別 / 三重鎖DNA / レジオネラ属菌 / 病原性細菌 / ポリプリン配列 / 微生物 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は, 病原菌や食中毒菌の簡便で迅速な新規遺伝子型別法の開発を目指すものであり, レジオネラ属菌をモデルとして実施する。 具体的には, 以下2点について検討する。 1) 微生物の染色体DNA上に分布するポリプリン-ポリピリミジン配列情報(PolyR15T)を抽出し, その染色体DNA上の位置情報と出現する配列パターンから, 微生物の遺伝子型別法に利用可能なデータセットを検討する。 2) 上記で検討した微生物の染色体DNA上のPolyR15T配列をターゲットに, 三重鎖DNAの形成を利用した検出法を開発し, 迅速な遺伝子型別検査法に応用する。
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研究実績の概要 |
細菌感染による食中毒や感染症等の発生時には、「起因菌の同定」と共に「菌株の型別」を実施する必要がある。本研究は、微生物の染色体DNA上に存在するポリプリン-ポリピリミジン(PolyR)配列情報を利用した遺伝子型別方法論の確立と簡便で迅速な検査法への応用を目的としている。 令和4年度は以下の実験を実施した。 迅速かつ簡便なPolyR配列の検出を目的に、対象とするPolyR配列の三重鎖DNA形成をトリガーとしたローリングサークル増幅(RCA)反応の検討をした。 本反応は4つの段階から成り、1) 対象とするPolyR配列に対して選択的に三重鎖DNAを形成するモレキュラービーコン(MB)を用いて、三重鎖DNAを形成する段階と2) 三重鎖DNA構造の形成によりヘアピン構造が開いたMBの3’末端側と環状一本鎖DNA(増幅産物にG4構造を形成するようにデザインした)の配列特異的なアニーリングの段階、3) MBとアニーリングした環状一本鎖DNAのRCA反応によるG4構造の増幅段階、そして4)RCA反応によって生じたG4構造をチオフラビンTの存在下で蛍光検出する段階からなる。 まず初めに、4段階の反応をone-pot反応で実施した。しかしながら、三重鎖DNAの形成条件では、RCA反応に利用するポリメラーゼ活性の著しい低下が確認された。そこで、4段階の反応を段階的に実施することでこの問題点を検討した。結果として、1)、2)の段階を三重鎖DNA形成条件で反応後、4倍希釈した反応液を3)のRCA反応に使用することで、生成したG4構造とチオフラビンTとの結合による蛍光を確認した。しかし、1)、2)の段階の反応液を希釈してRCA反応に供するため、増幅時間を長くして感度を上げる必要があり、そのことがバックグラウンドの増加によるS/N比の低下につながった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定通り、染色体DNA上に存在するPolyR配列を三重鎖DNAの形成をトリガーとしたローリングサークル増幅 (RCA) 反応の検討を実施した。しかし、RCA反応に利用する純度の高い一本鎖環状DNAの作成に時間を要した。また令和4年度は行政検査等に多くの時間を要したため研究業務に十分な時間を確保できず、十分な検討ができなかった。 以上の点から、やや遅れていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、染色体DNA上に存在するPolyR配列を三重鎖DNAの形成をトリガーとしたローリングサークル増幅反応の検討を実施する。研究期間内に得られた知見を論文にまとめ広く周知する。
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