研究課題/領域番号 |
20K18931
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 豪竜 京都大学, 医学研究科, 助教 (20867965)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 新型コロナウイルス感染症 / ソーシャルキャピタル / 高齢者 / 身体活動 / 操作変数 / 認知症 / 食生活 / ワクチン / かかりつけ医 / 歩数 / 在宅勤務 / うつ / 操作変数法 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで高齢者の身体不活動は認知症リスクを上昇させると考えられ、適度な運動が推奨されてきたが、明確なエビデンスは存在しない。本研究は、操作変数法という手法を用い、ランダム化比較実験のように比較可能な二群を見つけることで、高齢者の身体活動が本当に認知症のリスクを下げる効果があるのかどうか検証を行う。また、同様の手法を、身体活動との間に逆の因果関係バイアスが生じる可能性のあるうつ病や生活習慣病といったアウトカムにも応用する。
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研究実績の概要 |
コロナ禍における高齢者の生活の変化と健康への影響を明らかにするため、日本老年学的評価研究(JAGES)において2020年度の臨時調査を行うことを提案し、調査票の作成に当たって中心的な役割を担った。これにより、2019-20年の追跡データの作成が可能となり、思い出しバイアスの少ない質の高いデータを整備することができた。 整備したデータを活用し、8,291名の高齢者を対象に、新型コロナ流行前のソーシャルキャピタルと、新型コロナ流行中のうつ傾向の関連を調べた。分析の結果、新型コロナ流行前に家族や住民同士の助け合いが盛んだった地域では、そうでない地域に比べて、コロナ禍で新たにうつ傾向に陥るリスクが約1割少ないことが分かった。この結果を報告した論文は、Health & Placeに掲載された。 また、新型コロナ流行期間の1回目の緊急事態宣言下において「自分がどの程度の確率でCOVID-19に感染すると思うか」を18,045人の高齢者に尋ねたデータを使い、自分の感染可能性について「かなりの確率で感染する(過度に悲観的)」または「感染する確率は全くない(過度に楽観的)」と考える人の特徴を分析した。その結果、「高齢」「経済的に豊か」「教育歴が短い」という特徴を持った人は過度に楽観的な傾向があり、逆に「働いている」「ニュース番組やインターネットを情報源にしている」人は過度に悲観的な傾向があることが明らかになった。この結果を報告した論文は、SSM Population Healthに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
JAGESデータを用いて、新型コロナウイルス感染症の流行に関する研究テーマで、昨年度中は2本の論文を査読付き国際誌に掲載することができた。 高齢者の生活と健康というもともとの研究課題に関連して、新型コロナウイルス感染症の流行という事象に対して時機を捉えたエビデンスを創出することができており、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
操作変数法を用いて、引退が高齢者の健康に与える影響を分析する。分析にあたっては、日本の高齢者のデータに限らず、米国のHealth and Retirement Study (HRS)や欧州のSurvey of Health, Ageing and Retirement in Europe (SHARE)、英国のEnglish Longitudinal Study on Ageing (ELSA)などの国際比較可能なデータベースも用いる。
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