研究課題/領域番号 |
20K18943
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
|
研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
藤井 亮輔 藤田医科大学, 医療科学部, 講師 (60823846)
|
研究期間 (年度) |
2022-12-19 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | ゲノム疫学 / ポリジェニックリスクスコア / 高血圧 / 遺伝統計学 / コホート研究 / GWAS |
研究開始時の研究の概要 |
循環器疾患は、脳血管疾患と虚血性心疾患を含み我が国の主要な死因の一つであるが、死亡だけでなく、発症に伴う個人の QOL 低下や我が国の医療経済システムにも大きな影響を与える。そのリスク因子としてすでに確立されている喫煙・飲酒などの生活習慣に加え、遺伝的要因の発症への関与が最近明らかになっている。これらの情報を統合した高リスク者のより精密な層別化が循環器疾患の一次予防として重要である。そこで、本課題では、健常人を対象とした大規模ゲノムコホート研究の縦断データを使用し、「日本人特有の遺伝的なリスクスコアと生活習慣を組み合わせた循環器疾患の新規発症を予測するモデルの構築」に取り組む。
|
研究実績の概要 |
令和5年度(2023年度)は、本課題の目的である縦断解析におけるポリジェニックリスクスコア(PRS)の構築を目指して、日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study)のデータセットのうち、遺伝的多型の情報が測定されている9,296人の日本人集団での収縮期血圧および拡張期血圧に関するPRSを構築した。PRSの計算方法には、PRSice-2およびPRS-CSという方法を用いた。PRS構築のために参照した収縮期血圧および拡張期血圧のGWAS要約統計量は、バイオバンクジャパンが公開しているGWASデータ:Phewebからダウンロードし利用した。 収縮期血圧および拡張期血圧のPRSと血圧実測値との横断解析については、Fujii R, et al. Circ Genom Precis Med. 2022. を参照されたい。今年度の実績としては、収縮期血圧および拡張期血圧のPRSと追跡期間中の全死亡・循環器疾患死亡との関連を調べた。循環器死亡はICD-10のI00-I99とした。統計解析では、PRSを5つのグループ(0-10%、10-20%、20-80%、80-90%、90-100%)に分割し、中間群(20-80%)を対照としてそれ以外の群のハザード比(HR)をCox比例ハザードモデルで推定した。追跡期間中(中央値12.6年)に、全死亡は273例、循環器死亡は41例観察された。PRS中間群(20-80%)と比較して、PRS最上位群(90-100%)の多変量調整HR(95% CI)は、収縮期血圧のPRSでは3.57(1.68-7.58)、拡張期血圧のPRSでは3.94(1.78-8.72)であった。研究成果は、第34回日本疫学会学術総会にて報告し、英語論文は査読中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の到達目的である血圧PRSと追跡期間中の循環器死亡との関連も調べており、十分に研究計画は達成されていると考える。さらに、令和6年度は発展的な解析に取り組む。
|
今後の研究の推進方策 |
主要な研究目的をさらに発展させ、1)血圧PRSを超えて循環器疾患に関与する生体指標のPRSを構築し、循環器死亡との関連を探索すること、2)血圧PRSと血圧実測値の両者を活用した個別化医療(検査)に資する層別化解析を行うことを計画している。
|