研究課題/領域番号 |
20K18955
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 長崎大学 (2021-2022) 東北大学 (2020) |
研究代表者 |
乙丸 礼乃 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (00849416)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | RSV / social mixing pattern |
研究開始時の研究の概要 |
RSV感染は全年齢で発生することがわかっていたが、感染が拡大しやすい年齢層への伝播がどのように起きているのかは不明であった。また、RSV 感染症では症状の程度と感染性との関連が明らかでないことにより、各年齢層の流行拡大への寄与を検討することは困難であった。これらのことから、どのような介入がRSVの拡大予防に有効なのかについては検討されてこなかった。本研究では、各年齢層の社会的接触パターン、およびRSV感染時の感染性を考慮した流行拡大の危険因子について検討する。地域での流行拡大に重要な役割を果たしている年齢層を明らかにすることは、新たなRSV 感染症予防戦略の考案に役立つものと予想される。
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研究実績の概要 |
Respiratory Syncytial Virus(RSV)は、特に5歳未満児において下気道感染症を引き起こすウイルスである。本研究では、RSVの地域流行拡大に関与する要因について明らかにし、効果的な感染拡大予防策を考案することを目的としている。 長崎大学は、ベトナムニャチャンで急性呼吸器感染症(Acute Respiratory Infection,ARI)の症状を呈する0-14歳の入院症例を対象としたARIサーベイランスを実施し、登録された症例から鼻腔スワブ検体を収集している。本年度は、2020年1月から2022年4月を研究期間とし、SARS-CoV-2流行開始後のRSVの分子疫学的特徴について解析を実施した。 合計2,241例が登録され、月齢中央値は16.9ヶ月(IQR:7.8-28.7ヶ月)であった。検体が入手可能な2,225検体についてPCRでRSVを検出し、480例(21.4%)が陽性だった。RSVのサブグループ分類のためのリアルタイムPCRを設計して実施したところ、252例(52.5%)でRSV-Aのみ、108例(22.5%)でRSV-Bのみ、5例(1.0%)でRSV-AとB両方が検出された。64例(13.3%)はサブグループ未確定となり、51例(10.6%)で他の検査で検体を使いきった等の理由により検査が実施できなかった。 研究期間中、明らかなRSVの流行は二回確認され、2020シーズン(2020年6月から2021年7月)、および2022シーズン(2022年1月から2022年4月)と定義した。2020シーズン(n=387)では主要なサブグループはRSV-A であった(n=228, 58.9%)。一方、2022シーズン(n=85)はRSV-Bが主要なサブグループであった(n=60, 70.6%)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SARS-CoV-2流行拡大予防対策により、2021年は病院の入院規模の縮小・集約化などが実施され、通常通りに検体を集めることができなかった(2020年のARI症例数: n=1169,2021年のARI症例数: n=813)。また、RSVの流行時期に合わせた前向き研究などは実施が困難な状況にある。これらのことから、計画の遅れが生じていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2015年から2019年までの5年間について、RSV発生の季節性に関して時系列モデルを用いた解析を実施したところ、当地でのRSV流行は6-7月頃から11月頃にかけて発生していたことがわかっている。2020シーズンの90%以上の症例が2020年6月から2021年1月までの期間に発生していた。これらのことから、これまでにわかったことは次のように要約できる。(1)SARS-CoV-2流行開始までの過去5年間、当地でのRSV流行は6-7月頃から11月頃に発生していた、(2)2020年は大規模なSARS-CoV-2感染予防対策が実施されていたが、RSVの季節性や流行の規模に大きな変化はなかった、(3)2022年は例年の流行時期と異なる1月から4月にかけてRSV流行が発生していた、(4)これまでの流行時期と異なる1月から4月の流行では主要なサブグループはRSV-Bであった。 これらのことを踏まえ、2023年度は、2022年度の後半のRSV感染症の発生について、分子疫学的解析を実施する。合わせて、過去に得られた検体のうちデータ解析が終わっていない分についてもデータを揃える。また、これまでにわかっている分子疫学的解析の結果を詳細に解析し、地域でどのように流行が拡大しているか解析を進める。
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