研究課題/領域番号 |
20K18956
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮脇 敦士 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (30841928)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | low value care / choosing wisely / 医療政策 / ヘルスサービスリサーチ / Heath Services Reserach / Choosing Wisely / low-value care / 医療の価値 / 医療の無駄 / 医療の質 / value in healthcare / quality of care / wasteful spending |
研究開始時の研究の概要 |
不必要な医療サービスを減らし、医療の価値を向上させるために、社会が「低価値医療」(=健康上のメリットがほとんどない医療)にどれだけ費やしているか、理解する必要がある。本研究では、低価値医療の量・内訳の日本における定量化、さらに日米比較を行う。まず我が国における低価値医療の包括的なリストを作成、さらに、そのリストや先行研究における低価値医療の指標を基に、低価値医療の我が国における概要を、我が国の代表的な保険請求データ(集計データ及び個票データ)を用いて定量化する。最後に、米国のデータを用いて日米比較を行うことで、不必要な低価値医療を減らすための多国間の取組における共通目標を提示することを目指す。
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研究成果の概要 |
医療費の構造的な問題を科学的に解決する1つの方策として、「低価値医療(=効果のない医療サービス)」の定量化を試みた。先行文献と専門医集団のレビューに基づき33の「価値の低い」かつ、「保険請求データを用いて測定可能な」医療サービスを同定した。242の急性性期病院の2015から2019年度の保険請求データを使って患者さんの5 to 8%が少なくとも1回の低価値医療を受けていることがわかった。低価値医療の医療費は、57 to 129億円で、対象病院の医療費総額の0.23 to 0.51%を占めた。粗い試算とはなるが、我が国の国民医療費44兆円に外挿すると、約1000億円以上の規模となる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回の研究結果は、わずか33項目の価値の低い医療に注目しても、少なからぬ患者さんが価値の低い医療を受けていたことを示している。また、その額も決して無視できない規模である。粗い試算であるが、推定された1000億円というのは、具体的には、昨今急速にがん化学療法で利用が増加しているPD-1モノクローナル抗体の薬価ベースの売上(商品名キイトルーダ, 1195億円;商品名オプジーボ, 1125億円 [2021年度])に匹敵する規模である。新しい高額医薬品をいかに公的医療保険の中でカバーしていくか、という観点でも低価値医療に注目する重要性がわかる。
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