研究課題/領域番号 |
20K18965
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
綾仁 信貴 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90777939)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 院内暴力 / 粗暴行為 / 違反行為 / 精神科 / 医療安全 |
研究開始時の研究の概要 |
本邦の精神科入院環境における、暴力等の粗暴行為および離院や異所喫煙等の違反行為の発生頻度を測定する。粗暴行為および違反行為は、行為の主体(患者または医療者)とその対象(患者、医療者、不特定の他者、環境)を明確にし、行為を内容ごとに分類して詳細な情報を収集するとともに、患者や医療者の背景情報も同時に収集し、事象発生に寄与するリスク因子と事象の予防可能性についても明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の令和5年度は、令和4年度と比較して新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の影響がさらに緩和され、カルテ調査での施設訪問ができる回数が増え、また調査施設での研究協力者の協力のもと、データ収集作業を概ね予定通り進めることができた。全調査対象者538人(2018年01月01日から2018年06月30日に研究協力施設3施設の精神科に入院した全入院患者540人のうち、患者からの辞退希望等により除外された患者を2人を除く)の調査期間(2018年01月01日から2018年12月31日)中に発生した粗暴行為および違反行為の件数について、全体の6割にあたる323人の調査結果から、粗暴行為は132人に58384件、違反行為は166人に516件発生しており、全患者の40%が粗暴行為を、51%が違反行為を行っていることが明らかとなった。また粗暴行為および違反行為の内訳として、暴力は全体の17%に認められ、この頻度は海外における先行研究と同等の頻度であった。違反行為については、医療行為の拒否が最も多く、全患者の約3割で認められていた。疫学指標に基づいた発生頻度については、それぞれcrude rate(100入院患者あたりの頻度)は、粗暴行為、違反行為でそれぞれ178件および103件(95%信頼区間:163-192 および 144-171)であり、incidence(1000人日あたりの頻度)はそれぞれ25件および23件(95%信頼区間:23-28および21-24)という結果で、高い頻度で粗暴行為や違反行為が発生していることが明らかとなった。年度内でのデータ収集完了を達成できなかったため、研究協力者を3施設で募り、新たな3名を追加した9名の協力者とともに、研究機関を1年延長し、2024年度中のデータ収集完了、および結果を解析しての学会発表および論文執筆につなげる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年03月以降の新型コロナウイルス感染症の影響により、2021年の冬まで研究協力施設への訪問と現地での調査を行うことができず、また2022年度も感染対策に伴う訪問制限については緩和されつつも、研究調査施設でのクラスター発生等の理由で調査が行えないこともあった。2023年度以降は概ね予定通りのスケジュールで調査を行うことができているものの、これまでの遅れもあり、データ収集作業に遅れが生じているため。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力施設においてデータ収集作業に携わることができる研究協力者を募集することで、2023年度末の時点で3施設において合計9名の協力者を募ることができた。またデータ入力についても、所属機関が実施する子育て支援の一環として研究補助員雇用の支援を受けることができ、データ入力作業についても今後加速化が見込まれる。2023年度末の時点で、現地でのカルテ調査による1次レビューの完了者は全対象患者の60%程度であり、研究協力者の増員もあり、今年度中のデータ収集完了とデータ入力完了、およびデータベースの構築を完了させることは可能と見込んでいる。1次レビュー完了後は完成したデータベースを元に2次レビュー(医師複数名によるデータ分類の妥当性の検証)を行い、データ固定後、速やかに解析、および論文化を行う予定である。
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