研究課題/領域番号 |
20K18972
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
梶原 俊毅 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 主任研究官 (40816948)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 薬剤耐性菌 / JANIS / ESBL産生腸内細菌目細菌 / 予後 / 医療経済 / ESBL産生腸内細菌科細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、多くの抗菌薬に抵抗を持つESBL(基質拡張型βラクタマーゼ)産生菌が日本においても増加傾向となっている。その中で、薬剤耐性に関連するどの遺伝子が患者予後に影響を及ぼすか、また、予後を延長するために有用な治療法は何なのかを明らかにすることは重要である。広島大学が県下12病院で収集している薬剤耐性菌の遺伝子情報と、国立感染症研究所が収集している薬剤感受性情報、各病院が厚生労働省に提出する臨床情報であるDPC情報を匿名化して結合し、薬剤耐性菌の遺伝子や薬剤感受性、行われた治療法が患者予後に与える影響を一般線形化モデルを用い明らかにし、さらにその研究手法を全国展開可能な形で確立する。
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研究実績の概要 |
ESBL(Extended Spectrum Beta-Lactamase)産生菌は、入院患者検体での分離頻度が上昇し続けており、その患者予後に与える影響の理解と制御を行うことを目的に、3種類(広島大学院内感染症プロジェクト研究センター内にある10年間蓄積された広島県下12病院のESBL産生菌の菌株遺伝子情報とJANISに含まれる薬剤感受性情報、DPC情報)のビッグデータを統合解析し、(A) ESBL産生菌が分離された患者について、診療の過程で薬剤感受性が判明するまでに行われた経験的治療の内容によって、予後がどれだけ改善・悪化するのか、(B)世界中で頻度が増加しているST (Sequence Type) 131とその他の間で、および抗菌薬分解酵素タイプ の違いによって、患者予後に有意な差があるか、(C) ほとんどの薬剤が無効にも関わらず、見かけ上感受性を示す「ステルス型」と称される耐性菌が患者予後をどれだけ悪化させるか、その治療にアミノグリコシド系薬剤併用が有効かどうか、を解明する。臨床情報を扱うため、各12病院で倫理審査を受けている。現在、12病院中、10病院において承認を受け、うち、7病院からDPC情報の収集を行った。3病院について、DPCデータの準備中であり、2病院において、倫理審査の準備を続けている。臨床情報を含まない菌株遺伝子情報とJANISの薬剤感受性情報は各病院の担当者にて準備は完了している。 収集した7病院のDPCデータと薬剤感受性情報、遺伝子情報は結合作業を行い、5病院で結合が完了した。解析に向けて、多数あるDPC項目のうち、必要な情報の選定と、予備解析を行い、さらに必要な情報を選定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、各病院の担当者(主に臨床検査技師)の業務を圧迫し、残り2病院の倫理審査への対応が引き続き困難であった。本年度は3病院を訪問し、臨床情報の収集を行った。また、新型コロナウイルス感染症が落ち着いた時期を見計らい、3病院に対し担当者に病院内での臨床情報のデータ取得を依頼し、2病院については準備が完了したとのことで来年度取得を行う。また、統合データセットでは、感染症の原因菌であるかどうかの判別が困難のため、収集した結合データセットを現状に即した形で解析できるかどうかを検討しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、残り2病院の倫理審査を推進すること、残りの3病院についてDPCデータの収集を行うこと、統合プログラムの改善、発展を行う予定である。
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