研究課題/領域番号 |
20K18979
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
一萬田 正二郎 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (60849355)
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研究期間 (年度) |
2022-12-19 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | アミロイドーシス / 突然死 / 心臓 / ATTRアミロイドーシス / 胆嚢 / ATTR-wtアミロイドーシス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、約1600例の連続法医剖検例から、心臓へのアミロイド沈着例を抽出し、病型ごとに心臓への沈着量・部位を病理組織学的に評価し、死因との関連を後方視的に検討する。具体的には、アミロイド前駆蛋白の同定によって病型分類した上で、刺激伝導系を中心に心臓への沈着量やその様式を評価する。その結果と剖検で特定された死因とを比較し、特に不整脈による死亡が否定できない症例に関し、それ以外の死因が明らかな症例と比較することで、心アミロイドーシスにおける不整脈関連死の割合と、突然死のリスクとなり得る沈着パターンを特定することを目指す。また、心臓における異なるアミロイド蛋白間の相互関係の検討を行う。
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研究実績の概要 |
現在、トランスサイレチン由来(ATTR)アミロイドーシスは治療可能な疾患になりつつあり、早期診断の重要性が増している。申請者はこれまでに本症を病理組織学的に検討した学術論文を3本投稿した。 1本目は、心ATTRアミロイドーシスの病理組織学的検討報告である。富山大学法医学講座における連続法医解剖例1698例を組織学的に検討し、44例の心ATTRアミロイドーシス症例を抽出し、それらを詳細に解析した。その結果、軽症期と重症期の間に心房優位沈着期が存在すること、この特徴的な沈着期の形成にはATTR沈着物と心房ナトリウム由来因子由来アミロイド沈着物との相互関係が影響している可能性があること、重症度にかかわらず、心臓へのATTR沈着自体が突然死のリスクになることを見出した。これらの結果から、早期治療が心臓突然死の予防に重要であること、心房の評価が早期のATTR症例を検出するために重要であることを示した。 2本目は、胆嚢ATTRアミロイドーシスに関する症例報告である。この症例報告を通じ、これまで胆嚢へのアミロイド沈着はまれとされてきたが、多くが見逃されている可能性があること、胆嚢に沈着がみられる症例では心臓にも沈着が起こっている可能性が高いことを見出した。 3本目は、胆嚢と心臓のATTR沈着の重症度の関連を病理組織学的に検討した報告である。富山大学法医学講座における連続法医解剖例1826例を組織学的に検討し、50例の心ATTRアミロイドーシス症例を抽出した。その内、胆嚢と心臓が適切に標本化されていた15例を詳細に解析した。その結果、胆嚢への沈着率は67%と高頻度に起こり、胆嚢の間質(筋層)への沈着は心の重症沈着を示唆する初見であることを示した。以上より、胆嚢への沈着はまれではなく、その重症度は心臓の重症度と相関すると考えられた。
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