研究課題/領域番号 |
20K18990
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
大塚 麻衣 科学警察研究所, 法科学第三部, 研究員 (90801580)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 液体クロマトグラフィー質量分析 / 化学剤 / 誘導体化 / 計算化学 / 化学剤分解物 / 高感度分析 / LC-MS |
研究開始時の研究の概要 |
神経剤などの化学剤は高い毒性を持つことから、テロや事件で用いられた際には大きな被害をもたらす。このような場面においては、曝露証明のため被害者から化学剤由来の化合物を検出することが必要である。化学剤本体は反応性が高く検出することは困難であるため、その分解物の検出が重要となるが、低濃度であることや生体試料由来の夾雑物との分離の困難さなどの問題があり分析は困難であった。そこで本研究では、LC-MS 分析に適した誘導体化試薬を選択または合成することにより、分離挙動を改善するとともに、イオン化を促進して質量分析における感度も改善することで、化学剤分解物の高感度分析を達成することを目的とする。
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研究実績の概要 |
神経剤やびらん剤などの化学剤は高い毒性を持つことから、テロや事件で用いられた際には大きな被害をもたらす。このような場面においては、曝露証明のため、被害者の生体試料から化学剤由来の化合物を検出することが必要である。しかし、化学剤本体は反応性が高く検出することは困難であるため、化学剤の分解物を検出することが重要となる。一方で、化学剤分解物は高極性化合物であり、また生体試料中では低濃度であることから分析は困難であった。そこで本研究では、LC-MS/MS 分析に適した誘導体化試薬を選択または合成し、化学剤分解物の誘導体化 LC-MS/MS 分析を行うことを目的とした。 昨年度は、一昨年度に実施したノビチョク類の加水分解反応の計算化学による検討から生成することが予想された加水分解物について、親水性相互作用クロマトグラフィー/質量分析を用いた分析法を開発し、学会発表および論文投稿を行った(日本分析化学会第71年会、Forensic Toxicology, https://doi.org/10.1007/s11419-022-00656-4)。 また、びらん剤であるマスタードガス及び窒素マスタードの分解物について誘導体化 LC-MS/MS 法を開発するべく、一昨年度合成した誘導体化試薬を用いて誘導体化反応の検討を行った。その結果、窒素マスタード分解物については誘導体化体のピークを LC-MS で確認できたものの、マスタードガス分解物については誘導体化体のピークは確認できなかった。 現在、窒素マスタード分解物について誘導体化反応の条件検討や収率計算のための誘導体化体の標品合成などを進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は、喫緊の課題であった新規神経剤であるノビチョク類関連化合物の分析法として、ノビチョク加水分解物の親水性相互作用クロマトグラフィー/質量分析による分析法を開発し、学会発表および論文投稿を行った。 しかし、上記の研究を優先して進めたことで、新規誘導体化試薬によるびらん剤分解物の誘導体化 LC-MS/MS 分析法の開発の進捗についてやや遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度はまず、窒素マスタード分解物について誘導体化反応の条件検討や収率計算のための誘導体化体の標品合成などを進め、誘導体化 LC-MS/MS 分析法を確立する。 マスタードガス分解物については合成した誘導体化試薬では誘導体化体の生成が確認できなかったため、より反応性の高い誘導体化試薬の合成を行い、誘導体化反応を検討する。
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