研究課題/領域番号 |
20K19034
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58050:基礎看護学関連
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
河村 真人 東北医科薬科大学, 薬学部, 助教 (20524581)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 緑膿菌 / クロルヘキシジン / 塩化ベンザルコニウム / 消毒薬 / Efflux pump / 耐性菌耐性菌 / porin / 交差耐性 / 抗菌薬 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は、消毒薬のクロルヘキシジンに抵抗性を獲得した緑膿菌がキノロン系抗菌薬にも耐性を示すことを見出している。抗菌薬の不適切使用が薬剤耐性菌(AMR)を出現させると考えられてきたが、消毒薬使用による抗菌薬耐性菌出現の可能性も示唆される。 本研究の目的は、緑膿菌に対するクロルヘキシジンや塩化ベンザルコニウムなどの消毒薬使用が、抗菌薬の交差耐性獲得に関与するか否か検討し、そのメカニズムを解明することである。抗菌薬の適正使用のみだけではなく、生体や環境中に消毒薬を用いる看護師を中心とした全ての医療スタッフが、耐性菌問題に取り組む必要性がある。
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研究実績の概要 |
緑膿菌に対してクロルヘキシジンと塩化ベンザルコニウムを各々暴露することで、消毒薬の抵抗性を誘導する。これらの消毒薬の臨床使用濃度は、0.2%-0.5%であることが一般的である。この濃度域を超えるような消毒薬抵抗性緑膿菌の出現は、極めて稀であることから問題視されることが少なかった。さらに、消毒薬には抗菌薬感受性のような耐性・感受性などの概念が存在しない。抗菌薬は、生体に使用することから耐性と定義される最小発育阻止濃度が明確に存在している。しかしながら、各種消毒薬の系統や濃度により特定の病原微生物に効果を示さない場合はあるが、消毒薬の殺菌力を凌駕するようなメカニズム形成が確認されていないこともあり耐性や感性の定義が存在しない。緑膿菌を>109 CFU/mLに調整した培養液に0.2%塩化ベンザルコニウムを暴露させた。この培養液を用いてKBディスクによる各種抗菌薬感受性を実施した。ディスク法にて耐性を示した菌株を選択しMICを測定した。次に、消毒薬に抵抗性を獲得するメカニズムと抗菌薬のキノロン系薬やセファロスポリン系薬の耐性メカニズムが共通した薬剤排出ポンプであることを確認した。本検討において薬剤排出ポンプであるMexCD-OprJやMexXY-OprMは、クロルヘキシジンや塩化ベンザルコニウムで高発現することを解明した。これらの薬剤排出ポンプは、抗菌薬であるβラクタム薬、キノロン系薬およびアミノグリコシドなどを排出することが知られている。薬剤排出ポンプは、抗菌薬耐性に関与することから消毒薬使用による抗菌薬耐性緑膿菌の出現が新しい医療上の問題となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床分離された緑膿菌80株に対して、グルコン酸クロルヘキシジンまたは塩化ベンザルコニウムを暴露させた。暴露後に生残菌を回収し、ディスク法による感受性試験を実施した。イミペネムに耐性を示した菌株を選択し、MICの決定をした。日本化学療法学会総会および東日本地方会にて学会報告を行い、論文作成を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
交差耐性メカニズムの解明として、薬剤排出ポンプの発現定量を実施中である。論文投稿の準備をしており、研究課題の終了に向け取り組む。
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