研究課題/領域番号 |
20K19077
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58060:臨床看護学関連
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
高橋 秋絵 神戸女子大学, 看護学部, 講師 (50802435)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 新人保健師 / うつ病 / 妊産婦 / 信頼関係 / 関係構築 / 保健師 / マニュアル |
研究開始時の研究の概要 |
わが国では欧米諸国と比較して妊産婦の自殺率が高く、その背景にうつ病の合併が示されるなど、うつ病をもつ妊産婦への支援が重要である。支援の前提として、介入者と対象者の関係構築が重要であるが、研究者が実施した調査(2018) では、産後うつ病をもつ母親はその症状等によって他者との関わりが困難であることが示されていた。 本研究は、地域母子保健において、臨床現場で活用できる新人保健師のためのうつ病をもつ妊産婦との関係構築のためのマニュアル作成を行うことを目的とする。マニュアルの活用によりうつ病をもつ妊産婦と早期に関係構築が可能となり、適切な支援が実施できると考えられる。
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研究実績の概要 |
2022~2023年度は新人保健師5名、熟練保健師6名の面接調査を実施した。うつ病をもつ妊産婦と関わった1事例について振り返り、関わる際の困難、困難がありながらなぜ関わり続けることができたのか、関わりの工夫などについてインタビューを行った。 ①新人保健師:データを質的記述的に分析した結果、新人保健師と産後うつ病をもつ母親との関係構築のプロセスとして、初対面の母親の態度や発言に保健師が戸惑いや関わりづらさを感じる、訪問や電話を重ねて母親の気持ちや状況を理解しようとする、母親が素直な思いや気持ちを表現できることを尊重する、母親の強みやできていることに目を向け肯定的な変化に気づく、保健師は母親を信頼しながら母親の助けになれると思って関わる、母親が保健師を受け入れて信頼するということが示された。 ②熟練保健師:データを質的記述的に分析した結果、熟練保健師が産後うつ病をもつ母親と関係を構築するための関わりとして、母親が安心できるように、母親自身を深く理解できるように関心をもつ、母親の自己肯定感や精神状態の波を把握する、母親に負担がかかり過ぎないように見極める、母親の強みやできていることに目を向ける、母親の思い描く生活や育児を見つけられるように関わり、母親や家族が自らの力で主体的に選択することを支え、母親の調子や受け入れ状況に左右されず見通しをもって関わり続け、母親のニーズに誠実に対応し、母親の安全を守れるように関わるということが示された。 ①②の結果から、新人と熟練保健師の共通点は、母親を理解しようと関わっていることや母親の強みに目を向けているところである。相違点として、熟練保健師はうつ病をもつ妊産婦が困難になることを把握し、先の見通しを持ち、リスクマネジメントをしながら安全を保てるように関わっていることであると考えられた。これらの結果を踏まえ、マニュアル案の作成を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度までに新人保健師5名、熟練保健師6名のインタビュー調査を終えることができたが、インタビューデータの分析を行い、その結果からうつ病をもつ妊産婦との関係構築のマニュアルを作成する必要がある。2023年度中に関係構築のマニュアル作成には至らなかったため、やや遅れているを選択した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画を1年延長したため、2024年度が最終年度となる。新人保健師の面接調査の結果については、2024年度内に学会発表を行う予定である。面接調査の結果と文献検討の内容を踏まえ、うつ病をもつ妊産婦との関係構築のためのマニュアル案の作成を進める。
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