研究課題
若手研究
ウェルナー症候群は、92.4%の患者が鶏眼(うおのめ)や胼胝(たこ)を有し、87.6%の患者が難治性潰瘍を発症する。潰瘍は疼痛や感染を伴い、ほとんどの患者が車いすによる生活を余儀なくされ、下肢切断に至ることも多い。しかし、ウェルナー症候群は希少疾患であるため、潰瘍発症の経過やその実態は明らかになっておらず、潰瘍予防ケアは未確立である。本研究の目的は、ウェルナー症候群の方の潰瘍発症の経過とその実態を明らかにし、フットウェアやケア方法を開発することである。本研究はウェルナー症候群の方の足潰瘍予防研究の第一段階であり、最終的には、ウェルナー症候群の方が最期まで自分の足で歩けるということを目指す。
ウェルナー症候群(WS)は常染色体劣勢遺伝の希少な早老症である。平均寿命が延長する一方で、陽性率が87.6%にも上る難治性潰瘍、疼痛をはじめとした足部の症状はWSのQOLを妨げるとされる。そこで、ウェルナー症候群の方の足部形態や機能と潰瘍の実態やQOLを明らかにし、ウェルナー症候群の方潰瘍を予防することを目的としている。COVID-19の流行により臨床調査開始への影響が出ていたが、調査フィールドの調整を行い、今年度より調査を開始することができている。潰瘍がなく歩行可能な方から、足部全体が潰瘍化し、車いす生活を送っている方まで、さまざまな段階にある方の足の状態や歩行状態の調査を開始し、その足の持つ特徴を見出そうとしている。現状、四分の一程度の対象者の調査を終えたところで、調査は順調に進んでいる。ウェルナー症候群患者のQuality of lifeについて、2021年までにSF-36を用いた調査を行い、WS患者の役割/社会的健康は足部QOLが低い場合のみ低値であること、潰瘍があるWS患者は潰瘍がないWS患者と比較して有意に痛みが強く、全体的健康感が低いことを明らかにした。これについて2021年に国際学会で発表後、日本老年医学会の英文雑誌であるGeriatrics & Gerontology International査読者の指摘を受け、その他合併症の影響について再検討を行い、その知見は2023年1月に掲載に至った。更に、健常者によるフットウェアや歩き方が潰瘍の原因となる足底の外力に与える影響に関する調査を実施し、興味深い結果を得ることができた。これらの結果は、ウェルナー症候群の方に限らず、糖尿病の方、その他にも足潰瘍リスクのある方たちに応用可能な結果であり、2022年度に国内外の学会で発表を行った。
2: おおむね順調に進展している
COVID-19の流行により臨床調査開始への影響が出ていたが、調査フィールドの調整を行い、今年度より調査を開始することができている。現状、四分の一程度の対象者の調査を終えたところで、調査は順調に進んでいる。現時点で、ウェルナー症候群患者特有の足のサイズや関節可動域、足趾変形、偏平足あるいは凹足といった変形が観察できている。更に、ウェルナー症候群患者のQuality of lifeについて、SF-36を用いた調査を行い、WS患者の役割/社会的健康は足部QOLが低い場合のみ低値であること、潰瘍があるWS患者は潰瘍がないWS患者と比較して有意に痛みが強く、全体的健康感が低いことを明らかにした。これについて国際学会で発表後、日本老年医学会の英文雑誌であるGeriatrics & Gerontology International査読者の指摘を受け、その他合併症の影響について再検討を行い、その知見が今年度掲載された。
希少疾患であり、世界で一番WSの患者が集まる病院ではあるものの最大でも20名程度と対象者が少ない現状があるが、臨床調査対象者を拡大し、足部の萎縮や関節可動域制限など異常の程度、頻度を量的に記述し、WSの特徴、潰瘍経験を持つWSの特徴を見出していく。さらに、標準値のないデータについては健常者データを取得し、比較を行っていく。 見出された特徴から、潰瘍予防として、看護師からWS患者へ指導用パンフレットおよび予防フットウェアのひな型を作成する。COVID-19の流行により臨床調査の開始時期が遅くなったものの、現在は順調に進めることができており、2023年度前半には調査を終了し、解析と成果公表に入ることができる見込みである。
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