研究課題/領域番号 |
20K19132
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58070:生涯発達看護学関連
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研究機関 | 熊本大学 (2022-2023) 広島大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
城下 由衣 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 講師 (70865625)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 新生児 / 疼痛 / かかと穿刺 / 神経発達 / 事象関連電位 / 時間周波数解析 / 疼痛評価指標 / 痛覚刺激誘発電位 / 皮質間結合 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、新生児のかかと穿刺採血に伴う疼痛を、痛覚神経刺激誘発電位および皮質間結合(侵害受容刺激に応答する大脳皮質領域間のネットワーク)により定量評価を目指す基礎研究である。新生児への頻回な穿刺は、中枢神経系の発達障害リスクを高めるため、かかと穿刺の疼痛緩和法の開発が喫緊の課題である。しかし、新生児は言語表現できないため、疼痛の客観的な定量評価が困難である。 本研究では、表皮内皮膚穿刺による誘発電位を記録し、多チャネル脳波計測で皮膚穿刺による皮質間結合の変化を解析することで、新生児のかかと穿刺採血における疼痛を定量評価する。本研究成果は、将来的に疼痛緩和法の確立、低侵害受容機器の開発を推進する。
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研究実績の概要 |
本研究は、新生児のかかと穿刺採血に伴う疼痛を、脳波測定による事象関連電位(event-related potential: ERP)等により定量評価し、疼痛緩和法や低侵害受容機器の確立、将来的に、新生児が頻回の痛み処置を受けることによる中枢神経系の発達への悪影響を最小限にすることを目指している。
2020年度、2021年度の研究結果より、穿刺に誘発されるERPは、穿刺の際の触圧覚に加え、クリック音の成分を含むことが明らかとなり、ERPは新生児のかかと穿刺の疼痛評価として適切でない可能性が示された(Shiroshita et al. 2021)。2022年度、2023年度にて、穿刺時の脳波の時間周波数解析の結果、穿刺時の脳波の時間周波数解析は、新生児の疼痛評価となり得る可能性が低いことが示された。
本研究は、将来的に、新生児が頻回の痛み処置を受けることによる中枢神経系の発達への悪影響を最小限にすることを目指しているため、MRIにより、新生児の中枢神経系の発達を定量的に評価する視点を加え、研究に取り組んでいる。本年度、かかと穿刺器具(自動型または手動型)のメタアナリシスを行い、自動型穿刺器具の低侵襲性が明らかとなった(国際査読誌の査読中)。さらに、MRIによる新生児の中枢神経系の発達評価に関する文献検討を行った(国際学会発表)。現在、小児科医と連携を図り、NICU入院中の新生児において、自動型穿刺器具を用いた際の中枢神経系の発達への影響を、MRI評価により明らかにする研究を行うために、140名の過去のMRIデータを後方視的に解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画に加えて追加実験を行い、さらに、COVID-19の影響により、NICU入院中の新生児を対象とした実験が困難であったため遅延が生じている。そのため、新生児での検証に代わり、成人データの再解析およびメタアナリシスに切り替えて検討を行った。現在、小児科医師と連携し、NICU入院歴のある新生児140名の過去のMRIデータを後方視的に解析し、NICU入院中の新生児における中枢神経系の発達をMRI評価により明らかにする実験研究の実施に向けて取り組んでいる。研究計画からの遅れを最小限にできるよう進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、新生児のかかと穿刺採血に伴う疼痛を客観的に定量評価し、疼痛緩和法や低侵害受容機器の確立、将来的に、新生児が頻回の痛み処置を受けることによる中枢神経発達への悪影響を最小限にすることを目指している。 現在、MRIによる中神経系発達評価の視点を加え、NICU入院歴のある新生児140名の過去のMRIデータを後方視的に解析している。2024年度は、後方視的なMRI解析にて、MRIが、新生児の中枢神経系の発達評価となり得るかどうかを明らかにしていく。MRI評価を加えることで、本研究成果は、新生児の疼痛評価指標の確立に留まらず、NICUの新生児における頻回の痛み処置に伴う中枢神経系の発達への悪影響を最小限にする低侵害受容機器の確立に繋がると考えられる。
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