研究課題
若手研究
胃ろう造設後の高齢者において胃食道逆流症は誤嚥性肺炎を引き起こし経口摂取への移行を阻害する要因となる。栄養剤投与を行う看護師が利用できる、施設や在宅で療養中の高齢者にも適用可能な非侵襲的なアセスメント方法がないことが現在の課題である。そこで、看護師が実施可能な、AIによる画像処理を用いた超音波検査(エコー)による観察と、口腔内の細菌叢解析を取り入れ、経口摂取への移行を促進するプロトコルの確立を目指す。研究の目的は、看護師が胃ろう造設後の高齢者に対して実施可能な、胃食道逆流症のアセスメント方法と口腔内の衛生状態のアセスメント方法を確立し、経口摂取への移行を促進するプロトコルを確立することである。
AIを用いたエコーによる梨状窩の残留物の検出方法の開発と、残留物の視認性を向上させるための気泡を含む検査食の評価を目的とした。残留物を自動で検出するAIによる咽頭残留の検出の感度・特異度はそれぞれ100%, 87.5%であり、AIを用いずに看護師が観察した結果を上回っていた。気泡ありの検査食を用いた場合、看護師4名中3名が咽頭残留検出の感度・特異度が気泡なしの場合に比べ向上していた。AIの適用と気泡を含む検査食の利用は、いずれも残留物の検出の感度・特異度を向上させた。今後は、エコーで咽頭残留や逆流物を観察することにより胃ろう造設後の経口摂取を促していけるか、介入研究にて評価していく必要がある。
これまで、在宅や施設では誤嚥の要因となる摂食嚥下機能や胃食道逆流症のアセスメントが十分できず、医療者が誤嚥性肺炎のリスクを恐れることや実際に誤嚥性肺炎に至ってしまうことから、胃ろう造設後の経口摂取が進まないことが課題となっていた。本研究により、今後、非侵襲で施設・在宅でも使用可能なエコーを用いた残留物や胃食道逆流症の観察を看護師が自信を持って行うための手段として、AIの利用や気泡を含んだ検査食の利用を本研究の成果から提案できたと考えられる。
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Japan Journal of Nursing Science. (In press)
巻: -
Japan Journal of Nursing Science
巻: 18 号: 2
10.1111/jjns.12396
210000172826
http://www.imagingnursing.m.u-tokyo.ac.jp/index.html
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