研究課題/領域番号 |
20K19257
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 北陸大学 |
研究代表者 |
高橋 純子 北陸大学, 医療保健学部, 教授 (60636596)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 救命救急 / 高齢過疎地域 / BLS訓練 / AED / 地域連携 / のらんけバス / 電動カート(WA-MO) / 市バス / WA-MO / 電動カート / 救命モデル / 高齢化 / 過疎地域 |
研究開始時の研究の概要 |
輪島市は高齢化率43%であり、過疎地域に指定されている。輪島市の全域が一つの救急搬送圏域になっており、救急指定病院は1施設のみであり、医師数の減少と診療科の閉鎖が顕著な状況である。本研究では、救急活動時間の延伸やこれに伴う救命率の低下を防ぐための対策として、輪島市内を循環する小型電動カートWA-MOにAEDと関連備品を搭載し緊急連絡網の確立により、医療機関への早期の連携を図り一次救命に貢献できるかを検証することを目的とする。AEDを絶えず循環させることで設置場所を問わない新しいAEDの活用スタイルを作り、市民の救命率を向上させ、災害時の応用や全国の過疎・高齢化地区の救命体制のモデルを作る。
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研究実績の概要 |
2021年290名の方に対して、輪島市の協力を得て500名を対象に一般市民が実施する救命活動に対する意識およびBLSに関する知識・技術の理解、今後実施するBLS講習会への参加の可・否、「のらんけバス」にAEDを搭載することに対する意見を質問紙調査にて実施した。290名の回収を得ることができ、そのうち15名の市民が実際に輪島市消防署でBLSの技術講習を受けて良いと回答があった。今年度の研究は、BLS講習会を実施する前・後の市民の救命活動の意識やその技術に教育効果を生み、AEDをのらんけバスに搭載した場合に傷病者の救命の可能性を探ることを目的とした。そこで、普通救命講習に参加した15名を対象に対し、講習会の受講後に2021年と同様に救命活動に対する意識およびBLSに関する知識・技術の理解を探る質問紙調査を実施した。 結果、受講者の平均年齢は65.2歳であった。「救命活動への自信・意欲」については15名中5名が向上、9名は変化なし、1名は減少した。統計分析の結果、前後で有意差を認めなかった。また、BLSの手技を7つに分け、どの行為ができるかを確認した結果、「人工呼吸」、「AEDの取り扱い」についてできると答えたものがそれぞれ2名から8名へ向上、8名から12名へ向上した。また、AEDの取り扱いにおいて、その動作を3つに分けできる動作を確認したところ、「電源をONにする」、「電極パッドを胸部へ取り付ける」、「通電ボタンを押す」の3つ動作全てに可能であると向上の結果を認め、統計分析の結果においても講習会の前後において取り扱いにおける恐怖心が減少したことを示し、有意差を認めた。 AEDが「のらんけバス」に搭載され場合人助けができるかという問いに対して、15名中4名はできると意識が向上し、変化がなかった者は、11名、意識が減少した者は0名であった。この結果から、高齢者にもBLSの訓練を実施することにより救命活動の効果があるのではないかと示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来であれば、今年度はAEDをのらんけバスに設置し、その効果を検証するフェーズであったがコロナ禍であり、高齢者の多い輪島市内での調査協力を得るためには、コロナ感染のピークが静まる夏季の実施に絞られた。また、消防署の協力を得て、人を1箇所に集めてBLSトレーニングをほぼマンツーマンで実施するには、場所や時間、タイミングも限られたものであり、多くの対象者に協力を得ることが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
2フェーズ目で得られた「のらんけバス」へのAEDの搭載について市民より得られた調査結果、意見に基づいて、今年度は研究の最終年度として実装させた結果をまとめていきたい。5月連休明け以降、コロナ感染の扱いも2類から5類へ変更されたことから、昨年度よりはスピードを上げて活動できると考える。 特に、メーカーおよび輪島市、輪島市消防署、大学との連携において、実装の計画および方法について早期に打ち合わせを行う必要がある。市の運営するバスに搭載するには、その取り付け位置や管理の方法、実際に傷病者が出現した場合は誰がAEDを扱うのか、車内に限らずバスの運行ルート上で傷病者が発生した場合のバスの停め方、AEDの管理の方法など一定のルールを決めていく必要がある。その上で、秋頃には市民の協力を得ながら想定訓練を行い、市民にどのように活用されるのかを検証していく。
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