研究課題/領域番号 |
20K19293
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
森 礼子 日本福祉大学, 看護学部, 准教授 (70733038)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 地域DOTS / リスクアセスメント票 / ベトナム人結核患者 / 結核患者支援 / 結核看護 |
研究開始時の研究の概要 |
ベトナム人およびベトナムの結核に関する文献検討をし、脱落中断するベトナム人結核患者の特徴と課題を整理する。地域DOTSで脱落中断したベトナム人患者の担当経験がある保健師にインタビュー調査を行い、患者の特徴的な脱落中断要因を抽出する。先行研究等を用いて抽出した要因を基にベトナム人患者版リスクアセスメント票(案)を作成し、保健所保健師を対象とした質問紙調査を行う。調査結果を基に修正したものを保健所に試行依頼し、利用可能性について確認する。
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研究実績の概要 |
日本の結核罹患率は2022年に9.8(人口10万対率)となったが、先進諸国同様、外国人結核患者の増加が今後の課題になっている。日本版DOTSの下、地域DOTSでは通院する結核患者に個別支援を展開しているが、看護計画立案の段階で用いるリスクアセスメント票は外国人に向けた評価票になっていない。そこで、本研究では外国人結核患者を適切にアセスメントするためのリスクアセスメント票を開発することとした。対象は、国内で発生数の多い外国人結核患者で、近年急増しているベトナム人結核患者である。このリスクアセスメント票の開発により、患者への質の高い支援の提供、地域DOTS成功率の向上、そして地域DOTSを行う保健師への効率的・効果的な保健活動に寄与できると考えた。 これまでの研究でベトナム人結核患者の服薬中断リスク項目(案)を作成し、当該年度は最終段階として、デルファイ法によるリスクアセスメント票項目の内容妥当性と表面的妥当性の調査を行い、調査結果をまとめた。今回の調査では、研究協力者が地域DOTSを担当する専門職(主に保健師)でその力量が担保されている経験値5年以上の者であり、かつベトナム人結核患者のDOTS対応を複数回経験した者とした。対象者が限定されていることから、調査エリアを全国に広げ、国内でベトナム人居住者の多い自治体を管轄する保健所結核担当者に協力を仰いだ。協力者は15名で、実践での知識とこれまでの経験を基に、7分類28項目のベトナム人結核患者用リスクアセスメント項目(案)の適切性について、自記式記述式質問紙調査を郵送法にて実施した。デルファイ法は、専門性の高い個々の対象者から意見を集約し、合意を得るまで行う調査である。返信された意見を基に修正を繰り返し、調査は3回実施し、全ての項目に対して合意を得た。リスクアセスメント票項目は、最終的に5分類24項目となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で対象者となるのが保健所感染症対応の保健師としていたため、研究開始年度の当初からCovid-19により研究計画が頓挫していたが、これまでに研究方法を変更しながら、現段階で研究は最終段階となった。 前年度はベトナムの結核について専門知識のある結核研究者らへの調査を実施し、その結果を基にベトナム人結核患者の服薬中断リスク項目の素案を作成した。そして今回、デルファイ法を用いてリスクアセスメント票項目の内容妥当性と表面的妥当性の調査を開始した。当該年度の予定では、調査を終了し結果をまとめるとともに、実践場面で活用できるようにリスクアセスメント票の使用ガイドを作成することであったが、調査結果をまとめるところまでとなり、実践で活用されるための使用ガイドの作成までには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は地域DOTSにおけるベトナム人結核患者専用のリスクアセスメント票の開発である。当該年度には最終調査も概ね終了し、まとめの段階まで進めた。今後は残された課題として、保健所の実践場面で活用していただくためにベトナム人結核患者用リスクアセスメント票の使用ガイドを作成する予定である。使用ガイドでは、使い方だけでなく各リスク項目の意図する内容を示すため、使用者はリスク項目の意図する内容を誤解することなく、正しくアセスメントすることができると考える。今後、使用ガイドの作成においては、結核研究者の協力を仰ぎながら、完成させる予定である。
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