研究課題/領域番号 |
20K19305
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
|
研究機関 | 追手門学院大学 (2021-2022) 浜松医科大学 (2020) |
研究代表者 |
谷 恵介 追手門学院大学, 心理学部, 特任助教 (20824741)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 重力知覚 / 身体軸知覚 / 経頭蓋磁気刺激 / 脳 / 多感覚統合 / 視覚 / 身体傾斜 / ヒト / 重力空間知覚 / 脳形態解析 / 脳刺激 / 身体軸 / MRI / 空間知覚 / 重力方向 / 神経基盤 / VBM / 経頭蓋電気刺激 / 重力 / 経頭蓋直流電気刺激 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトが地上で目的の行為を適切に遂行するためには、重力や身体の方向を正確に認識(知覚)することが必要不可欠である。本研究では、脳の形態解析および経頭蓋直流電気刺激(tDCS)を用いた行動実験を通して、ヒトの重力空間の知覚に寄与する神経基盤を明らかにする。それに加え、脳損傷患者における重力空間知覚の障害に対するtDCSを用いた介入の効果を検証する。本研究によって得られる成果は、ヒトの重力空間知覚メカニズムの解明に寄与するだけでなく、脳損傷患者に対する新たなリハビリテーション介入の開発に繋がる可能性がある。
|
研究実績の概要 |
2020年度に実施した脳形態解析において、身体軸方向の推定能力と右中後頭回(right middle occipital gyrus:rMOG)の灰白質量が有意に相関することが明らかとなった(Tani & Tanaka 2021)。本年度は、連発経頭蓋磁気刺激(repetitive Transcranial magnetic stimulation:rTMS)を用いた行動実験において、それらの因果関係を明らかにすることを試みた。 若年健常成人20名を対象に、rMOGまたは右側頭後頭接合部(right temporoparietal junction: rTPJ)にrTMSを付加する前後に、身体直立または側方傾斜位において身体軸方向推定課題を行わせた。その結果、rMOGへのrTMS後には、脳は刺激されない偽刺激条件に比べて、身体傾斜で生じる主観的身体軸のズレが有意に小さくなることが認められた。一方で、rTPJ条件と偽刺激条件間には、有意な違いは観察されなかった。この結果より、rMOGが身体軸知覚に因果的に寄与していることが示唆された。しかし、本実験では参加者の前庭機能を客観的に評価出来ておらず、今後評価する必要がある。 上記の研究に加え、重力空間知覚における視覚依存性と小脳の因果関連性を検証する実験も実施した。健常成人20名を対象に、小脳虫部(Vermis)または1次視覚野(V1)に対してrTMSを実施する前後で重力方向を推定する課題(Subjective visual vertical: SVV)を実施し、rTMSの効果を観察した。その結果、Vermis条件では、偽刺激条件に比べて重力方向推定における視覚依存性が有意に小さくなる一方で、V1条件では有意な違いは観察されなかった。このことから、小脳虫部が重力空間知覚における視覚前庭相互作用に関与していることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID19の影響により、入院している脳卒中患者を対象とした実験の実施が未だできていない。また、対象者の前庭機能の評価が必要であるが、既存の実験環境では難しく、新たに構築する必要性がある。
|
今後の研究の推進方策 |
前庭機能の客観的評価を行うための実験環境を新たに構築し、その評価を行う予定である。脳卒中患者を対象とした実験に関しても、実験環境(実施可能な医療施設)を模索する予定である。
|