研究課題/領域番号 |
20K19306
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉田 彬人 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (70849900)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 慢性疼痛 / 脳機能解析 / 運動恐怖 / 情動 / リハビリテーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、脳科学の観点から運動恐怖の病態を解明する。感情は脳内の電流分布として直接捉えられる利点がある。過去の研究より、身体能力改善が筋力よりも心理的ストレスに強く影響を受けることが知られている。特に慢性疼痛患者は、いかなる運動も新たな痛みに繋がるという過剰な恐れを抱き、十分な筋力トレーニングが行えず、体を動かさない生活(要介護状態・休職)へと陥る。このように身体能力の改善には運動恐怖の治療が重要であるが、アンケートを用いた主観的評価しか存在しないため治療法も十分に検討されていない。客観的評価や治療法の開発には、脳機能解析技術を用いて運動恐怖に対応する脳活動を明らかにすることが有用である。
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研究実績の概要 |
心理学的機能不全は慢性疼痛の中核症状の一つである。疼痛強度は否定的及び肯定的な感情を増幅させたり、軽減させる。疼痛によって感情が調整される効果は、健常成人であっても多様であり、抑うつや不安に関連する。近年のレビューでは、慢性疼痛はしばしば抑うつ、不安、不適応なコーピングと関連していることが示されている。しかし、一部の患者は疼痛と日常生活を正常化する目的に適応的で効果的なコーピングを行っている。従って、同一診断の患者であっても日常生活における行動と精神症状は多様性が存在していると言える。患者の精神症状の強みと弱みを同定することは、原疾患の標準的治療に加えて、精神症状に対する個別治療の開発や促進に繋がると期待できる。以上の文献レビューを行い、慢性疼痛患者の代表的な精神症状である抑うつと不安についてクラスター解析を行い、日常生活における行動学的特徴を調査した。結果として患者は「不安なし・抑うつなし」、「不安あり・抑うつなし」、「不安あり・抑うつあり」に分けられ、「不安あり・抑うつあり」の患者は他のクラスターと比較して日常生活における制限度が有意に高いことが明らかとなった。不安の下位尺度である認知的不安を含めたサブ解析では、クラスター間に有意な差は認めなかった。Fear-avoidance modelにおける不安と運動恐怖の関係性を鑑みると、日常生活を変容する程に運動恐怖が重症化することを予防することが重要と考えられ、脳神経活動の変化を検出する本研究課題の意義が再認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19に伴う行動制限等により、慢性疼痛患者のリクルートが困難であった。また、使用予定の脳磁計が稼働停止し、計測方法等の再検討を余儀なくされた。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19に伴う行動制限等が緩和されてきているため、可及的に慢性疼痛患者のリクルート、計測、解析を行う。計測機器については脳磁計の稼働再開を待つとともに、脳波計による運動恐怖の計測・解析を検討する。
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