研究課題
若手研究
現在、認知機能低下やBPSDの進行を抑制しうる、安価で汎用性に優れた新しい非薬物療法の開発が切望されている。そこで本研究では、「Virtual reality(VR)によって高齢者の精神症状が大きく改善する」「統合医療によってアミロイドβの脳内蓄積を阻害するγ波が発生する」という申請者らの独自の知見を基に、VRなどの最新テクノロジーを用いた回想法と統合医療のハイブリッド型アプローチが認知機能に与える影響について検証する。これにより、認知症問題に歯止めをかける新たな方法の開発を目指す。
本研究では、Virtual reality(VR)などの最新テクノロジーを用いた回想法と統合医療のハイブリッド型アプローチ(視覚・聴覚・嗅覚同時刺激)が、認知機能低下の進行やBPSDの抑制、介護者のQOLの向上に寄与できるのかを明らかにすることを目的としている。令和4年度は、前年度に引き続き臨床研究を実施した。高齢者介護施設を研究フィールドとしている関係上、新型コロナウイルス感染症の影響により一時臨床試験を中止せざるを得なかったが、介入群20名、対照群20名に対する3か月間にわたる介入を終了した。具体的な介入方法としては、試験開始前(ベースライン)では、被験者は認知機能測定、QOL・ADL測定、自律神経機能検査、脳波測定を受けた。その後、介入群の被験者は、週に1回のVRを活用した視・聴・嗅覚刺激時において、その前後で新版 STAI 状態・特性不安検査票(STAI Y-1)による精神症状の評価を受け、視・聴・嗅覚刺激後にはNumerical Rating Scale(NRS)による満足度・副反応検査を受けた。また、介入群の被験者は試験開始1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後(試験終了時)の時点で、視・聴・嗅覚刺激前にQOL・ADL測定、自律神経機能検査を受け、試験終了後には認知機能測定、脳波測定を受けた。また、被験者の家族あるいは介護者は、試験開始前(ベースライン)、開始1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後の合計4時点でJapanese version of the Zarit Caregiver Burden Interview(J-ZBI)短縮版日本語版Dementia Behavior Disturbance Scale-13 (DBD13)日本語版に回答した。現在、両群における結果解析を進めているところである。また、同時に大規模実証実験につなげるために、地方自治体(豊中市)との交渉を行うとともに、同市が主催する健康イベントや同市の介護施設における市民公開イベントにブースを出展し、本取り組みの特長をアピールした。
3: やや遅れている
高齢者介護施設を研究フィールドとしている関係上、新型コロナウイルス感染症の影響により一時臨床研究を中止せざるを得なかったため。
引き続き結果解析を継続するとともに、大規模検証にむけて地方自治体等と交渉を進める。
すべて 2023 2022 2021 2020
すべて 学会発表 (9件) (うち招待講演 4件) 産業財産権 (1件)