研究課題/領域番号 |
20K19324
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
田村 俊暁 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 助教 (20780373)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | dysarthria / 音響分析 / フォルマント遷移 / 発話明瞭度 / 連母音 / 二重母音 / 接近音 |
研究開始時の研究の概要 |
現在,神経原性発声発語障害患者(dysarthria)の重症度は聴覚印象による不安定な評価が主流であり,治療法確立のためには治療者の経験に左右されない評価法が必要である.第2フォルマント遷移率(F2 slope)は発話中の周波数軌跡を音響学的に解析した舌運動性の指標だが,統一的な測定条件は未だにない. そこで,本研究では日本語に適したF2 slope の測定課題の開発を目指す.この成果は,dysarthriaに対する言語聴覚療法の目標値設定にも応用可能となる.
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研究実績の概要 |
第2フォルマント(F2)の諸計測(持続時間,周波数範囲,変化率Slope)について発話条件(明瞭さ,話速度)で,連母音(/eo/,/oi/,/ai/)5箇所を含む「手負いの虎の絵をひょいと描いた」,有声閉鎖音(/ga/,/da/)3箇所を含む「探検家は冒険が大好きだ」の2文を,発話4条件(はっきり,遅く,普通,速く)毎に10回連続で記憶再生させたところ,結果として,1)連母音では,話速度を速くする毎に持続時間は有意に短く,周波数範囲は有意に小さく,変化率は有意差がなかった.また,「はっきり」と指示しても「普通」のF2変化諸計測値とで有意差はなかった.2)閉鎖音では,全ての発話条件でF2変化の諸計測値に有意差はなかった.F2変化の諸計測への話速度についての指示影響に関しては,連母音では大きく,閉鎖音で小さいが,変化率はいずれの条件でも影響が少ないか傾向が一貫していないと解釈できる. また,接近音/y/の若年健常成人5名に、課題文「柔らかい夕陽はゆっくりと夜をいざなう」を話速度3条件(速い・普通・遅い)で各10回再生させた。標的音節は文頭の接近音/ya/の[y]区間。①全話者で文産生時間は話速度条件に対応して延長・短縮した。②F2移動時間は、全話者で普通条件に比べて、速い条件で短縮、遅い条件で延長した。③時間延長・短縮率は、語[yawarakai]よりも分節[y]での変化の幅が小さかった。④F2移動域は普通に比べて速いでは小さく、遅いでは大きくなる傾向があり、⑤移動開始地点が話速度の変化に対応していた。⑥F2 slopeは全話者の速い条件で最大値であった。⑦一方、遅い条件でのF2 slopeは3名が小さく、2名が大きくなった。接近音/y/のF2 移動の時間・周波数域は話速度条件により変化するが、音素の実現に時間的制約が関与している可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響で健常高齢者のデータ収集ができていない.若年健常成人の知見と,パイロット研究としての患者の第2フォルマント遷移と発話明瞭度の関係を明らかにした,実際に新たに作成した課題文によって患者と健常高齢者のデータ収集と解析を進めていく.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度で概ね健常者での確認が完了して,候補となる課題文が決定した.最終年度となる2023年度で患者と健常高齢者のデータを速やかに収集して,第2フォルマント遷移を測定するのに適した課題文を提示する.
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