研究課題/領域番号 |
20K19327
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
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研究期間 (年度) |
2021-02-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ソーシャルロボット / ロボットセラピー / ヒューマンロボットインタラクション / 自閉症セラピー / コミュニケーションロボット / 自閉スペクトラム症 / HRI |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,コミュニケーション教育が可能なロボットを開発し,自閉スペクトラム症(ASD)児のコミュニケーション能力向上の効果を実証することを目指す.スペクトラムと呼ばれるほど多様な特徴を持つASD児の個々の心理的な状態等を把握し,それに応じた適切な教育や療育プログラムを提供する.また,このロボットの第2ユーザである保護者またはセラピストにとって使用しやすいインタフェースの設計を行うことで持続的に使用可能なシステムを構築することを目的とする.
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研究実績の概要 |
本研究では自閉スペクトラム症児(ASD児)のためのロボットを開発する.発達障害児の中で,社会性が低いASD児を対象とし,ソーシャルロボットを用いたトレーニングシステムを構築し,それによるASD児のコミュニケーション能力の向上を明らかにすることを目的としている.個人の特徴が把握できるロボットを用いて,ASD児のコミュニケーション能力向上の効果を実証することを目指す.具体的には,スペクトラムと呼ばれるほど多様な特徴を持つASD児の個々の文化的背景や自閉レベルまた心理的な状態等を把握し,それに応じた訓練を提供する.また,保護者(または治療を担当する療法士)に対して使用しやすいシステム設計を行うことで持続的に使用可能なシステムを構築することを目標とする.具体的には,ヒューマンロボットインタラクションと感情コンピューティングとの融合,ユーザー中心インタフェースを設計する応用研究への取り組み,開発したロボットの効果に関する実証実験を計画している.その中で,2022年度は発達障害児の感情を自律的に認識し、フィードバックできるシステムを開発した.ロボットセラピーの実施中に皮膚コンダクタンス (EDA) を評価方法として用いることで,子供の感情的な変化を定量的に推測することができた.この内容についてはUnderstanding Emotions in Children with Developmental Disabilities during Robot Therapy Using EDAを題目としてSensors, 22(14)に掲載された.また,国際ジャーナルSensorsにASD児を対象としたソーシャルロボットやインタラクティブデバイスの研究成果を集めるため,Sensors and Robots for Healthcareという題目で Special Issueをパブリッシュした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究はヒューマンロボットインタラクションと感情コンピューティングとの融合,ユーザー中心インタフェースを設計する応用研究への取り組みの側面はおおむね順調に進展している.子供とロボットがインタラクションを行う際に子供の動きを分析した.その中,人とロボットのインタラクション中に人の皮膚コンダクタンスを解析し,ロボットを用いたセラピーの定量的評価を行った.さらに,インタラクションの際に使用するデバイスとロボットシステムのインテグレーションおよびセラピストが使用しやすいインタフェースの開発を行った.その結果(Understanding Emotions in Children with Developmental Disabilities during Robot Therapy Using EDA)をSensors 22(14)に発表した.自閉症の中でも発達障害の症状の違いによって,ロボットとのインタラクションタイプが異なることが分かった.ユーザー中心設計のため,その違いについて解析した.この内容はIEEE RO-MAN2023のポスター発表に投稿する予定である.このような研究内容は2022年度に終了する予定であったが,研究代表者の育休のため,研究開始時期が遅れてしまい,研究の進捗も計画よりやや遅れている.そのため,2023年度までに延長をした.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は下記の3つを目標としている.一つ目はヒューマンロボットインタラクションと感情コンピューティングとの融合,二つ目はユーザー中心インタフェースを設計する応用研究への取り組み,最後は開発したロボットの効果に関する実証実験である.その中で,実証実験が残っている課題である.ロボットシステム開発については予定通り進めてきた.昨年度の報告書にも記載した通り,コロナ感染等の問題で実証実験が難しく,発達障害児にセラピーを行う現場で実証実験を行わず,開発したロボットの詳細がわかる動画や映像を作成し,インターネットを通じて,印象や使いやすさ,期待される使用効果に関して調査を行った.今年度からはそのデータを解析し,結果を基に少しずつシステムを修正していく予定である.またその修正版について数回調査を行い,ASD児の個人に効果的なロボットシステムについて明らかにする.
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