研究課題/領域番号 |
20K19332
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 兵庫医科大学 (2022) 兵庫医療大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
松沢 良太 兵庫医科大学, リハビリテーション学部, 講師 (20770184)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | サルコペニア / フレイル / 腎不全 / 透析 / リハビリテーション / 身体機能 / 運動療法 / 腎代替療法 / 運動 |
研究開始時の研究の概要 |
本邦の透析患者の高齢化は深刻である。透析患者は低栄養、慢性炎症、異化亢進/同化抵抗性およびアミノ酸の喪失といったフレイルの危険因子を多く有するが、高齢化がフレイルのリスクをさらに上昇させる。運動療法には透析患者のフレイルの予防・改善が期待されるものの、高齢患者におけるエビデンスは確立されていない。本研究は透析患者における運動療法の効果について検証し、臨床で実践可能かつ効果的な運動プログラムの立案を目指す。
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研究実績の概要 |
本邦において、血液透析療法を受ける末期腎不全患者の人口は年々増加し続けており、透析患者の高齢化が進行している。大規模な疫学調査によれば、透析患者の6割以上が日常生活に何らかの介助を必要としていることが報告された。この日常生活動作の遂行能力には身体機能の低下が強く関わっており、高齢透析患者の身体機能改善を目的とした運動療法介入の科学的根拠を構築することが今日の腎不全医療では求められている。 2022年度は研究参加施設の準備、実態把握のためのデータ収集・解析を中心に実施した。また、一部の患者に対して運動療法介入を開始した。実態調査の結果、筋肉量の減少と身体機能低下に特徴づけられるサルコペニアは約40%の患者に認められた(Kakita D, Matsuzawa R et al. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2022)。さらに、サルコペニアが生命予後に及ぼす影響について、年齢別の解析を現在実施中であり、サルコペニアは非高齢患者において強力な死亡の危険因子であることが明らかにされた(論文投稿中)。その一方、高齢透析患者においてはサルコペニアよりも栄養状態の低下が強力な予後規定因子であることも明らかにされた。我々は、末期腎不全患者を対象にアミノ酸/たんぱく質補充を中心とした栄養療法の効果を検証するために系統的レビューを実施した結果、こうした栄養療法単独でもわずかながら身体機能向上に寄与することを報告した(Matsuzawa R et al. Clin Nutr ESPEN. 2021)。そのため、高齢透析患者においては、身体機能向上を目的とした場合、運動療法だけでなく栄養療法を併用した介入が効果的である可能性が示唆された。現在、透析患者に対して個別処方の運動療法介入を実施中であり、今後運動療法介入の効果判定を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
透析施設での身体機能等の前データの測定、先行研究の系統レビューを通じた情報収集は順調に進んでおり、すでに取得済みデータに関しては、論文にまとめ査読付きの英語医学雑誌への掲載に至っている。しかしながら、コロナウィルスの蔓延に伴い、大規模かつシステマティックな治療介入に踏み込めないでいる状況である。以上が上記区分となる理由である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに蓄積した前データを用いて、本研究課題の達成に向けたサブ解析および発表(学術集会および医学雑誌)を行う。加えて、現在透析患者に対して個別処方の運動療法介入を実施している最中であり、次年度に運動療法介入の効果判定を実施する。その際、運動療法介入に参加していない群との比較を行う。
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