研究課題/領域番号 |
20K19348
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
森野 佐芳梨 大阪公立大学, 大学院リハビリテーション学研究科, 講師 (10822588)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 動作解析 / 妊婦 / 腰痛 / リハビリテーション / 慣性センサ |
研究開始時の研究の概要 |
妊娠は母体に大きな負担をかけるが、腰痛は妊婦の50%以上が経験し、生活の質を低下させる問題として対策が求められている。例えば、妊娠経過に伴い変化する身体アライメントが腰痛発生に起因することから、姿勢を是正するアプローチが腰痛改善策として行われている。しかし、腰痛発生には脊柱の動作中における生理的湾曲変化と、それに伴う力学的ストレスが関連するため、腰痛発生の原因究明には、静的なアライメント評価では不十分である。そこで本研究では、妊娠期腰痛への効果的な動作指導アプローチを目的として、脊柱のダイナミック(動的アライメント変化)解析と腰部の力学的負荷を統合的に評価するシステムを開発する。
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研究実績の概要 |
本研究目的は、客観的評価デバイスを用いて妊婦の脊柱のダイナミック解析を行い、力学的負荷の要素も加えることで腰痛発生リスクを評価する手法を考案することである。この目的をみたすため、本研究では、これまで困難であった脊柱の静的および動的アライメント変化を捉えるべく、20個の慣性センサ(Inertial measurement unit: IMU)を20mm間隔で連結させたシートを使用している。また、フォースプレートにより力学データを計測し、実際に妊婦から聴取した腰痛発生状況を合わせ、腰痛発生リスクを評価するプロトコールの構築を目指した。 これにより、妊婦を対象とした動作計測実験により体重心位置と脊柱動作との関連性を調査し、静止立位姿勢において前後方向のバランスが悪い妊婦は、立ち座りにおいて体幹の前後移動を制御できていない可能性を観察した。さらに、腰痛の痛みの程度が大きければ大きいほど、立ち上がり動作における腰椎下部の前方回旋、つまり屈曲動作が大きくなるという正の相関関係を確認した。ここで、研究成果の論文査読にて使用センサの妥当性を指摘されたため、使用センサ自体の検証を行うこととなった。検証方法としては、本研究の動作計測に使用するIMU連結シートを対象者に装着し、椅子の立ち座りを中心とした動作計測を行う。この際、同時に三次元動作解析装置による計測も行うことにより、双方の動作解析結果を比較する。これにより、本研究において静止時および動作時の脊柱部の計測を行うために改良を施したIMU連結シートの計測結果の正確性および妥当性を検証する。なお、三次元動作解析装置に内蔵されている人体モデルにおけるマーカ位置では、体幹全体の動作解析には適しているものの、脊柱部の詳細な動作を解析することが困難であるため、脊柱部のマーカ個数を増やすことによりIMUの位置に合わせた動作解析を計画した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では前年度までに、妊娠中期後半~後期(妊婦特有の体型変化が大きくなる時期)の妊婦を対象とし、IMU連結センサおよびフォースプレートを使用し、椅子の立ち座り動作実験を行った。この計測データをもとに、妊婦の静止姿勢評価を重心位置という力学的観点により評価し、その結果により脊柱アライメントの動作特性を予測する手法を検討した。これにより、本研究目的である客観的評価デバイスを用いて妊婦の脊柱のダイナミック解析を行い、力学的負荷の要素も加えた腰痛発生リスクを評価する手法を考案することに対し、当初の研究計画に加えて新たな活用手法を検討することができた。さらに、腰痛の程度を評価する指標であるNumerical rating scaleの結果を用いて、痛みの程度と動作の程度の相関関係の検討を行った。この結果、腰痛の痛みの程度と立ち上がり動作における腰椎下部の前方回旋の間に正の相関関係を確認した。また、これらの結果を一度論文にまとめ、国際誌への投稿を進めた。その際、編集部および査読者のレビューコメントより、IMUセンサそのものではなく、連結したシステムによる人の動作解析に関する精度検証が必要であるとの指摘を受けた。これより、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、当初計測を予定していた産科婦人科の臨床現場や妊婦を対象とした計測実験が困難であることも考慮し、成人を対象としたシステムの検証実験計画を進めた。この際、当初は他施設の三次元動作解析装置を借用する計画であったところ、申請者の所属機関において新規に設備が導入されたこと、および他施設への移動費等を削減して経費を有効に活用すること等を考慮し、申請者の所属機関にての計測を行う計画に変更した。これにより令和4年度に計測するはずであった実測実験に遅れが生じ、動作解析実験については令和5年度へと持ち越しとなった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究開始後は、妊婦を対象とした計測実験が困難となったことにより、研究計画の見直しが必要となった。これに伴い、研究目的を達成するにあたり、当該年度内に取得できたデータの活用を検討した結果、開発予定のデバイスおよび評価手法に対して当初の計画に加えた新たな活用手法を見出すことができた。また、当初考案していた妊婦の椅子の立ち座り動作特性と腰痛との関連性について、痛みの発生の観点および痛みの程度の観点の両側面から確認することができた。なお、この際、対象者の特性(妊娠週数)や対象動作は当初の予定通りに実施した。 一方、得られた結果を用いて国際誌への投稿を進めたところ、IMUセンサそのものではなく、連結したシステムを用いた人の動作解析についての精度検証が必要であるとのレビューコメントを得た。これより、当初予定していた妊婦による検証を変更し、成人を対象としたシステム検証を行うべく、計画を進めている。この際、検証に使用する三次元動作解析装置に関して、当初は他施設の機器を使用する計画で機器の選定等を進めていたが、申請者自身の所属機関にての計測が可能となった。これにより、計画進行については遅れが生じたものの、計測をしながらの検証手法見直しや、研究経費の有効な活用が可能となった。このため、計測現場へのアクセスが容易になったことを活かし、より精密なセンサの検証を実施していく。なお、妊婦への計測再開の見込みが立った場合にはIMU連結シートからの動作解析データおよびフォースプレートによる力学データを用いて、逆動力学計算により腰部への力学的負荷を算出した上で、脊柱のダイナミクスに関して統合評価を行い、当初の予定であった計測手法の改善およびデータ使用方法の検討と対象者の増加を目指す。
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