研究課題/領域番号 |
20K19365
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
中村 潤二 畿央大学, 健康科学部, 研究員 (30793723)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 痙縮 / 脳卒中 / 電気刺激療法 / 前庭脊髄路 / 運動障害 / リハビリテーション / 歩行 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、脳卒中後の痙縮の病態の解明と電気刺激療法による治療の適応の検証である。 痙縮は、中枢神経障害後に生じる筋緊張調節異常であるが、その病態は多様であり、前庭脊髄路との関連を検討した報告は非常に乏しい。痙縮の治療には、電気刺激療法があるが、症例の病態に応じた適応や効果は検討されていない。本研究の第一目的は、痙縮の病態を解明するために、痙縮と前庭脊髄路との関連を検証することである。第二目的は、痙縮に対する電気刺激療法の効果を得るために、各症例の病態を踏まえ、電気刺激療法の適応を検証することである。 本研究により痙縮を呈する運動障害に対する医療を発展させることができると考える。
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研究実績の概要 |
痙縮には、脊髄反射回路の興奮性を促通させる機能をもつ前庭脊髄路との関連が報告されているが、痙縮と前庭脊髄路の関係性を調査した研究は 非常に乏しい。また多様な病態を示す痙縮に対して、その症例の病態に応じた適応や治療効果は検討されていない。本研究の第一目的は、脳卒中後の痙縮の病態 を解明するために、痙縮と前庭脊髄路との関連について検証することである。また第二目的は、痙縮に対する電気刺激療法の最大限の効果を得るために、各症例の病態を踏まえ、電気刺激療法の適応を検証することである。 痙縮と前庭脊髄路との関係を検討するために、前庭脊髄路興奮性の機能を評価可能とされるヒラメ筋H反射を応用した計測法を、健常者や脳卒中患者に対して実施し、調査を継続している。 痙縮を有する脳卒中患者の前庭脊髄路興奮性は、痙縮の多様な病態を反映しているためか、症例によってばらつきがあり、症例数の蓄積を継続している。また脳卒中後の痙縮に対する電気刺激療法については、トレッドミル歩行練習と機能的電気刺激療法を併用することで痙縮抑制や歩行能力の向上が認められたこと学会発表した。 また痙縮の病態分析を誘発筋電図を用いた神経生理学的評価や臨床的評価から行い、治療指針の検討についての症例報告を行った。 前庭脊髄路の計測方法の妥当性、信頼性の検討についてもさらに進めており、前庭脊髄路の計測方法の妥当性や信頼性、測定意義をまとめた内容が和文誌の物 理療法科学誌に掲載された。また、痙縮に関連するとされる前庭脊髄路の興奮性の計測に関する臨床応用として、脳卒中患者に対して運動療法を行い、姿勢制御や前庭脊髄路興奮性に与える影響についての報告が国際誌であるPhysiotherapy theory and practiceに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験1の「痙縮と前庭脊髄路の関連性」については、脳卒中患者に、前庭系への経皮的な電気刺激を用いた前庭脊髄路の神経生理学的評価を実施し、症例数を蓄積中であるが、仮説とは異なり、痙縮と前庭脊髄路興奮性の関係については症例でのばらつきがあり、現状のサンプルサイズではサブグループ分析を行うにも不足しているため、さらなるサンプルサイズの蓄積を進めている。 実験2の「痙縮に対する電気刺激療法の効果および適応」については、脳卒中患者に対して電気刺激療法の前後での痙縮や前庭脊髄路興奮性の機能評価、歩行能力の評価を実施予定であった。昨年度から歩行が可能な症例以外にも対象を拡げるとともに、電気刺激療法以外の物理療法として、体外衝撃波療法などの実施も加えた。電気刺激療法による痙縮抑制や歩行能力の影響については症例の病態特性を詳細に分析して実施するなど行った。しかし十分な症例数の蓄積には至っていない。体外衝撃波療法に関しては、痙縮抑制の影響を一定数のサンプルサイズで検討することができ、国際誌への投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
実験1である痙縮と前庭脊髄路の関連性に関しては、サンプルサイズの蓄積を進めるが、関連性が見られない可能性もあるものの、その結果についても国際誌に投稿することを検討する。 また実験2に関して、電気刺激療法による結果は明らかにできていないものの、体外衝撃波療法に関しては、刺激強度が痙縮抑制に与える影響について、国際誌への投稿を進めている。
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