研究課題/領域番号 |
20K19394
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 広島大学 (2022) 日本福祉大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
鳥山 実 広島大学, 病院(医), 契約理学療法士 (10734551)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 膝関節 / 前十字靱帯 / 協調性 / 動作解析 / リハビリテーション / 膝前十字靱帯損傷 / 運動協調性 / バイオメカニクス |
研究開始時の研究の概要 |
膝前十字靱帯(ACL)損傷はスポーツ外傷の中でも重篤なものの一つであり,治療に際して患者は身体的,経済的負担を余儀なくされる。現在,様々なACL損傷予防プログラムが提唱されているが,ここ数年のACL損傷発生率はほぼ横ばいであり,有効な予測・予防システムは確立されていない。ACL損傷リスクには神経筋制御機構の破綻が関連するとされ,また多関節運動の協調性低下がACL損傷リスクに影響することが指摘されている。一方でその力学的な影響についてはまだ解明が進んでいない。本研究では多関節協調運動の有無がACL損傷の力学的リスクに及ぼす影響を検証し,ACL損傷予測システムの基盤を構築することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は多関節協調運動の程度が膝前十字靱帯(ACL)損傷の力学的リスクに及ぼす影響を検証し,ACL損傷予測システムの基盤を構築することを目的としている。 本年度は昨年度から引き続きACL損傷者における多関節協調運動運動の特性を健常者と比較,検証を行った。ACL損傷者と健常者を対象に3次元動作解析装置(VICON NEXSUS)と表面筋電計(Delsys)を用いて片脚スクワット動作の計測および解析を行った。今年度は新たに筋活動の際の検証として筋シナジー解析を実施した。
現在のところ選択基準および除外基準を満たしたACL損傷者23名および身体特性のマッチした健常者23名の計測が完了している。これまでの傾向と同様に,健常者,ACL損傷側下肢,反対側下肢について閉眼条件でACL損傷リスクとなる膝関節外反モーメントが増大し,さらに反対側下肢では下肢関節運動の変動性の開眼閉眼比が増加していた。このことはACL損傷者は反対側下肢においてもACL損傷のリスクを有しており,それに対して視覚による代償が過剰に働いていることを示唆している。また表面筋電図では筋シナジー解析の結果,2番目の筋シナジーについて,健常者とACL損傷側では閉眼時に空間的に異なる活動パターンを示しており,異なる神経筋制御機能を有していることが明らかとなった。これらの結果について学会発表を行う予定であり,英文雑誌に投稿中である。 さらにマーカーレスモーションキャプチャによる関節角度の推定システムの精度検証については,三次元動作解析の結果と比べて概ね良好な成績を示しており,実際に運用を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度より,所属先がデータ計測を行っている施設へと異動となったが,選択基準及び除外基準にマッチする対象者のリクルートに難渋したことと,異動に伴い業務とのエフォート配分が変更となったため,解析プログラムの検証およびデータの解析,論文執筆に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度末まででほぼ目標人数の計測が完了したため,業務量を調整しながら引き続き解析プログラムの検証とデータ解析および論文執筆を進めていき,広く成果を公表していく予定である。また,マーカーレスモーションキャプチャについては現在も測定を継続して行っており,これらの結果も今後の成果発表に向けてまとめていく予定である。
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