研究課題
若手研究
パーキンソン病は運動症状を特徴とする進行性の疾患であり,進行とともに日常生活活動に支障をきたす.日常生活活動を維持・改善するためのリハビリテーションを行うには,その背景となる機能障害を適切に評価し,予後予測を行う必要がある.そこで本研究はPD患者の運動障害,認知機能障害,脳萎縮の程度,ドパミン神経の変性・脱落の程度といった多角的な視点から,①日常生活活動の障害に関与する機能障害を特定し,②客観性を持った日常生活活動の予後予測方法を確立することを目的に実施する.
本研究は,パーキンソン病(Parkinson’s Disease,以下PD)を有する患者の運動障害,認知機能障害,脳萎縮の程度,ドパミン神経の変性・脱落の程度といった多角的な視点から,①日常生活活動(Activities of Daily Living,以下ADL)障害に関与する機能障害を特定し,カットオフ値を算出すること,②客観性を持ったADL予後予測方法の確立をすることを目的に実施している.令和5年度の研究計画は,得られたデータを解析し,目的①の「ADL障害に関与する機能障害を特定し,カットオフ値を算出する」について,論文にまとめ,国際誌に投稿することであった.加えて目的②を達成するため,令和2年度に取得した患者データの2年後のデータを取得し,データを解析して論文にまとめることであった.令和5年度に実施した研究の成果は,大きく分けて二つである.はじめに,PDの重症度とADL障害の関係を明らかにし,研究論文としてまとめた.現在は当該論文を国際誌へ投稿するための準備をしている.次に,PDの10~15%に小字症(字が拙劣で書いているうちにだんだん小さくなる)を呈することが知られており,日常生活を阻害すると要因の一つになると考えられた.その小字症の原因について,脳機能障害の視点から研究を行い,国際誌に投稿した.一方,研究目的②のADL予後予測についても令和5年度に研究を行う予定であったが,研究代表者の体調不良により実施できなかった.そのため,研究目的②については,令和6年度に取り組みたいと考えている.
3: やや遅れている
研究協力者および協力病院からの協力を得て,研究目標の一つであるADL障害に関与する機能障害の特定およびカットオフ値の算出に関する解析は終わり,研究成果を論文にまとめた.現在は国際誌へ投稿するための準備をしている.一方で,研究目的の二つ目である「客観性を持ったADL予後予測方法の確立」を達成するためには,患者の2年後のデータを取得する必要があった.しかし,研究代表者の体調不良により,研究データの取得を行うことができず,研究を計画通りに進めることができなかった.
令和6年度は,令和5年度までにまとめた研究成果を,できるだけ早く国際誌に投稿し,論文受理を目指したい.また令和2年度および令和3年度に協力を得た患者の2年後データ(一般情報,ADL評価,運動症状評価,認知機能評価)の取得については,研究協力施設と密に連絡をとりながら,できるだけ早急に進めていきたい.患者の2年後のデータの取得が終了したら,データの解析を行い,論文にまとめ,国際誌に投稿したいと考えている
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
PLoS One
巻: 17 号: 12 ページ: 0279007-0279007
10.1371/journal.pone.0279007