研究課題
若手研究
パーキンソン病は運動症状を特徴とする進行性の疾患であり,進行とともに日常生活活動に支障をきたす.日常生活活動を維持・改善するためのリハビリテーションを行うには,その背景となる機能障害を適切に評価し,予後予測を行う必要がある.そこで本研究はPD患者の運動障害,認知機能障害,脳萎縮の程度,ドパミン神経の変性・脱落の程度といった多角的な視点から,①日常生活活動の障害に関与する機能障害を特定し,②客観性を持った日常生活活動の予後予測方法を確立することを目的に実施する.
本研究は,パーキンソン病(Parkinson’s Disease,以下PD)を有する患者の運動障害,認知機能障害,脳萎縮の程度,ドパミン神経の変性・脱落の程度といった多角的な視点から,①ADL障害に関与する機能障害を特定し,カットオフ値を算出すること,②客観性を持ったADL予後予測方法の確立をすることを目的に実施している.令和4年度の研究計画は,得られたデータを解析し,目的①の「ADL障害に関与する機能障害を特定し,カットオフ値を算出する」について,令和3年度に引き続き,論文にまとめ,国際誌に投稿することであった.加えて目的②を達成するため,令和2年度に取得した患者データの2年後のデータを取得することであった.令和4年度は,令和3年度にまとめた研究の成果を,アメリカで開催された学会で発表した.また学会発表で得た意見を参考に,論文の執筆を行った.この論文については,令和5年度に国際誌に投稿予定である.また令和3年度に引き続き,研究目的①を達成するための解析を行った.しかしADL障害の一部は,認知機能障害が影響していることを明らかにできたものの,カットオフ値となる指標は抽出されなかった.そのためPDのADL障害は複数の要因が複合的に影響して生じているものと推察された.また研究目的②を達成するため,患者の2年後のデータを取得する予定であったが,研究協力者が研究協力施設から異動したことに伴い,データを取得することができなかった.今後,研究力施設に所属する他の研究協力者からの協力を新たに得ながら,データの取得を行い,研究を進めていきたいと考えている.
3: やや遅れている
研究協力者および協力病院からの協力を得て,ベースとなる1年目の一般情報,ADL評価,運動症状評価,認知機能評価,脳画像等のデータ取得は終了した.そのデータをもとに研究目標の一つであるADL障害に関与する機能障害の特定およびカットオフ値の算出に関する解析は終わり,学会発表を行った.また当研究成果を論文にまとめ,近日中に投稿する予定である.研究目的の二つ目である「客観性を持ったADL予後予測方法の確立」を達成するためには,患者の2年後のデータを取得する必要があった.研究計画では令和4年度中にデータを取得する予定であったが,研究協力者の異動に伴い,データ取得が困難となった.そのため研究体制の再構築が必要となり,データ取得に時間を要している.
令和5年度は研究計画の最終年度となる.そのため,令和4年度までにまとめた研究成果についてはできるだけ早く国際誌に投稿し,論文受理を目指したい.また令和2年度および令和3年度に協力を得た患者の2年後データ(一般情報,ADL評価,運動症状評価,認知機能評価)の取得については,研究体制を再構築してから実施する必要がある.研究協力施設と密に連絡をとりながら,できるだけ早急に進めていきたい.患者の2年後のデータの取得が終了したら,データの解析を行い,論文にまとめ,国際誌に投稿したいと考えている.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
PLoS One
巻: 17 号: 12 ページ: 0279007-0279007
10.1371/journal.pone.0279007