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電子ドラムを用いた上肢機能運動機能計測による認知症スクリーニング手法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 20K19438
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分59010:リハビリテーション科学関連
研究機関東京大学

研究代表者

宮崎 敦子  東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (30771521)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワード認知症 / スクリーニング / 失行 / 認知機能障害 / 運動機能障害 / 介入 / 高齢者施設 / 廃用
研究開始時の研究の概要

認知症のスクリーニングに用いられる神経心理学的検査の設問には、視覚障害および聴覚障害のある対象者は答えることができない課題があり、正しく採点することができない。認知症のスクリーニングや重症化を評価するための新しい安価な方法として、ドラミングを用いた上肢の動きの測定を提案する。重度認知症でも、リズムに合わせドラム演奏をする機能は維持している。この時の腕の動きは、能動的に被験者自身が動かしており、失行の影響を受けない認知症特有の運動機能を抽出することができる可能性がある。また30分座位を保てるならば可能なため、虚弱な患者も使用できる。人道的に尊厳をもって認知機能低下や重症化の早期発見に貢献できる。

研究実績の概要

重度認知症でも、リズムに合わせドラム演奏をする機能は維持していることに着目し、失行や筋力低下の影響を受けにくい評価方法や介入プログラムの開発に取り組んでいる。具体的には、重度認知症患者を対象とし、ドラム運動を用いた評価方法を開発した。ドラムを叩く際に生じるリズムの知覚は、他人の模倣を可能とし、少しの合図でも自分が今何をするべきかの理解を助ける。認知症の重症度に応じて肩の筋肉を使う動きが難しくなり、腕の挙上が困難になるが、ドラムを叩く際のドラムスティックの跳ね返りは、継続的なドラム演奏を可能にする。ウェアラブルな加速度計とジャイロセンサを患者の腕に装着し、ドラム演奏中の角速度と腕の挙上角度を記録することで、上肢運動機能を測定した。ドラムを叩く平均腕速度と認知機能や握力の間には関係がなかったことから、この方法は失行や筋出力の影響を受けにくく、機能評価が可能であることが示された。また、ドラム演奏中の腕の挙上角度と認知症の重症度との関係を確認した。
本研究は認知症に関連する運動障害を特定し、効果的な介入プログラム実施中にその運動機能評価を行うことで、間接的ではあるが認知症の重症度を判定することが可能であることを示した。介入プログラム実施中の運動機能評価により、プログラムの効果を継続的にモニタリングできる。この運動機能評価は、認知症に関連した運動障害を捉えることで、認知症重症化を早期発見する。プログラム体験中の行動データから運動機能、更に間接的に認知機能を評価するこのアプローチは、介入プログラムの効果を最大化し、認知症の進行を遅らせるために非常に重要である。
現在、電子打楽器デバイス(電子ドラム)を用いて、ドラミング中の腕の動きから微細な運動特徴を計測し、被験者の脳MRI撮像データから得られる灰白質体積及び白質体積との関係性から、認知症の責任病巣の識別ができるかどうかを調査している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)やインフルエンザの影響により、高齢者施設入所中の方を被験者として募集する必要があるこの実験は、被験者募集や施設や病院が実験に協力できない状況下が継続していた。また実験依頼に必要な実験内容の説明のスケジュール調整についても全く不可能であった。ようやく、感染症が収まり、協力施設に入れるようになった。この研究は、ドラム演奏遂行中の動作と関連した認知症の責任病巣と進行を調査するために、MRIにより被験者の脳皮質を撮像する必要があり、協力施設とその近郊にあるMRIを保有する病院の協力も得られ、ようやく年末に実験が開始できた。
35名の参加者希望者が集まり、インフォームドコンセントを行ない、属性についての調査、認知機能・身体機能を計測、ドラム演奏のパフォーマンスを計測、MRI撮像まで終了し、現在すべてのデータが手元にある状態である。認知症のある方々のMRI撮像が大変難しく、また頭部付近の不随意運動などで画像データが撮れているか確認する必要があるが、29名の撮像ができている。6月からその撮像データから脳形態画像、拡散テンソル画像を収集し、灰白質体積及び白質体積を計測する予定である。また、ドラム演奏のパフォーマンスデータを整理し、関係性を精査する。研究分担者とのミーティングのスケジュールも調整済みである。
間に合えば11月の国際学会で発表し、その後論文にまとめる計画である。よって年度内までには予定していた研究計画を遂行できる見込みである。新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの影響で実験開始が大幅に遅れたものの、ようやく実験を開始でき、データ収集も完了した。

今後の研究の推進方策

当初の予定では、協力施設で認知症の原因疾患ごとに被験者のグループ分けを行なう予定であったが、実際に実験を進めていく中で、認知症診断名が不明の参加者が多いことが判明した。この問題に対応するために、MRI画像から原因疾患を調査する追加解析が必要になる可能性がある。
今後は、年度上半期でデータ整理と解析を終わらせ、研究分担者とミーティングを重ねることで、8月末にある国際学会発表抄録締切に間に合わせるよう尽力する。そして、抄録が採択されれば、11月の国際学会で研究成果を発表する予定である。学会での発表の際に得られる意見や指導を反映し、年内に国際論文化することでこの分野の研究の発展に寄与したいと考えている。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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