研究課題/領域番号 |
20K19458
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
佐々木 秀一 北里大学, 大学病院, 作業療法士 (30812854)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 母指CM関節症 / 装具療法 / スプリント / 疼痛 / ハンドセラピィ / 特許 / 社会実装 / 装具 / 母指CM関節装具 / 前向き無作為クロスオーバー試験 / 特許査定 / 倫理委員会の承認済み / 臨床試験登録システムへの登録完了 / 測定機器,装具の購入の完了 / 患者取り込み開始 / 学会報告の準備 / 保存療法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,我々が母指CM関節症に対する新しい機能的な装具を開発した新規母指CM関節装具の実用化を目指すことである.大部分の装具は母指を固定して炎症や痛みを改善してきたのに対し,本装具は母指を動かすことによって,CM関節の関節の位置を正しい位置に整復させ,疼痛の緩和や手の機能改善に有用である可能性がある.そこで,本装具の機能的有意性を検討し,母指CM関節症患者に対して,本装具を用いた治療と既存の装具を用いた治療を比較して,臨床的な有効性を検討することである.
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研究実績の概要 |
母指CM関節症に対して,当院で開発した新規北里式母指CM関節装具(New Kitasato thumb Splint:N-KTS,特許第6840373号)の実用化を最終目的としている.2023年の第35回日本ハンドセラピィ学会にて,本装具であるN-KTSの有用性に関して報告を行った.研究デザインはエビデンスレベルの高いランダム化クロスオーバー比較試験を用いて検証を行った.コントロール群で使用した装具は,アメリカ製でエビデンスのあるネオプレン製のComfort Cool Thumb CMCSplint(以下,CMC装具,Sillem,2011)を使用した.調査項目は,疼痛のVisual Analogue Scale(VAS),握力,指腹つまみ力,上肢機能評価であるHAND20とし,1ヶ月後の各項目の変化量を比較した.結果は試験参加の同意を18名から得られ,最終的な試験完遂人数は16名となった.結果は主要アウトカムである疼痛および握力,手の機能については有意差を認めなかった.また,指腹つまみ力について,N-KTSはCMC装具と比較して有意な改善を示した.結論として,本装具は有効性が示されている軟性のCMC装具と比較しても劣らず,さらにつまみ力の改善には本装具の有効性が示された結果となり,母指CM関節症患者の装具療法には有効であると報告した. この報告と同時にプロトタイプを作成した某医販企業と特許実施許諾契約書(ライセンス契約)を締結し,発売計画を算定した.2023年の8月に当院での先行販売を行い,それらの実績を元に2024年から全国発売を予定している.発売予定個数は2023年度は30個,2024年度は200個,2025年度は300個を予定している. 今後は,海外雑誌への投稿,本装具の修正点があれば修正を行い継続して発売し,実用化・社会実装としては最終局面となる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本装具であるN-KTSの有用性に関する2つの研究:本装具の主要メカニズムであるバイオメカ研究と臨床研究はすでに終了している.これらの学会報告は終了しているが,論文投稿を今後予定している. また,実用化である本装具の発売は,一部開始されており,今後は実績を元に全国発売を予定しており,実用化・社会実装に関しても順調に推移している.
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今後の研究の推進方策 |
当該研究に関する報告を2編,アメリカ系の医療医学誌への論文投稿を予定して,準備している.また,全国発売に関して,最終的な装具の修正点や発売に向けた戦略など検討していく.
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