研究課題/領域番号 |
20K19479
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 奈良女子大学 (2022-2023) 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター (2020-2021) |
研究代表者 |
浅野 友之 奈良女子大学, 生活環境科学系, 助教 (00870411)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | アスリート / 動きのコツ / 現実適応 / 個性化 / コツ獲得 |
研究開始時の研究の概要 |
アスリートにとっての「動きのコツ獲得」という事象は,パフォーマンス向上のみならず,その獲得過程における体験が彼らの心理的側面の発達において大きな影響を及ぼすはずであり,“スポーツと人格形成”というスポーツ心理学の古典的課題にも応えうる研究事象であると考えられる.本研究では,アスリートのコツ獲得に伴う心理的成長を「個性化の過程(“自分らしさ”を探求し表現していく過程)」と捉え,コツ獲得体験がアスリートの生涯に渡る心理的成長においてどのような役割(機能)を果たすのかを検討する.このことは,競技スポーツの意義や効果的なコーチングの有り様について検討するための有益な手がかりを提供するはずである.
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研究実績の概要 |
これまでの研究によって明らかとなった知見を関連学会にて発表した.ここでは,アスリートの競技ヒストリーにおける“動きのコツの連続性(競技ヒストリーにおける動きのコツの変遷)”を検討することを目的とし,長期に渡ってトップレベルで活躍したアスリート5名の伝記資料を分析した.分析の対象者および資料の選定基準は,①世界レベルの大会に複数回出場して上位成績を収めていること,②自身の得意技およびプレーの特徴に関する記述(フォーム,動き方,感覚などを含む)が豊富であること,③競技に対する自身の価値観や心の動きに関する情報が豊富であること,④幼少の頃の競技体験(あるいは身体運動の体験)について言及されていること,とした. 分析の結果,個人の競技ヒストリーにおいて,①幼少期・学童期は「誰にも負けたくない」「そのスポーツがおもしろい」「憧れ」などの情動的な体験に支えられながら競技に取り組み,朧げながらも既にこの時期には【原点となる“わざ・スタイル”の獲得(あるいはその直観)】が発生していたこと,②青年期には幼少期・学童期の体験をベースとしながら【高いパフォーマンスを実現するための“理(ことわり)”の探究】が生じていること,③競技期終盤では年齢による肉体的な衰えと向き合いながら「自身が競技に取り組む意義の再考」し,それがさらなる動きの洗練・深化の原動力になり,最終的には【原点となる“わざ・スタイル”の再発見】が生じていること,といった動きのコツの連続性が見出された. 以上のことから,動きのコツは個人のさまざまな内面の動きがパフォーマンスとして現れたものであると同時に,アスリートは競技人生を通して動きのコツ及び自己と向き合い続けていることが推察された.そして競技ヒストリー全体を貫くこの絶え間のない往還が,アスリートが現実適応と個性化を果たしていく上で重要な役割を担うことが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では,「動きのコツ獲得」という言語化困難な事象に研究者自らが相互に関わっていく中で浮き彫りにしていくという立場を取っている.必然的に,対象となるアスリートとは強固で密接な関係性に支えられながら関わっていくことが求められるが,新型コロナウィルス感染症による影響が残存しており,計画していた調査活動を十分に行うことが困難であった.
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今後の研究の推進方策 |
研究を計画していた期間を1年延長し,これまでの研究活動によって得られた仮説検証のためのインタビュー調査および論文執筆を進めていく.
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