研究課題/領域番号 |
20K19484
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
|
研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
荒牧 亜衣 武蔵大学, リベラルアーツアンドサイエンス教育センター, 准教授 (30507851)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 聖火リレー / オリンピズム / オリンピック・レガシー / 1964年東京大会 / 東京2020大会 / レガシー / オリンピック・ムーブメント / 国際オリンピック委員会 |
研究開始時の研究の概要 |
オリンピック競技大会は、その空間的、時間的拡がりを考慮したとき、オリンピズムを具現化するレガシーを開催都市、開催国にもたらすことができるのだろうか。レガシーという概念は、将来開催される大会を肯定する手段として、さらには、過去の大会を再評価する枠組みとしても用いられるようになった。レガシー概念の拡張は、大会が「もたらしてきたもの」や「もたらすであろうもの」を曖昧にしている可能性がある。本研究の目的は、オリンピズムを具現化するレガシーについて探求することをねらいとして、1964年東京大会の聖火リレーを対象に、オリンピック競技大会が開催都市と開催国にもたらすものについて明らかにすることにある。
|
研究実績の概要 |
2022年度は、1964年東京大会聖火リレーが開催都市、開催国にもたらしたものについて関連資料の収集、整理を進めるとともに、国内外の関連学会で研究成果を報告、今後の研究の進め方についても意見交換を行った。主な研究実績は以下の4点である。 第1に、オリンピズムを具現化するレガシーを探求する手立てとして記憶研究を参照し、現在から過去の集合的記憶がどのように具体化され、再記憶化されたのかを明らかにすることを試みた。東京2020大会関連資料において、1964年東京大会がどのように扱われているのかについて考察し、1964年東京大会聖火リレーの記憶を具体化するプログラム、再記憶化する制度的枠組みを確認した。また、1964年東京大会聖火リレーは、東京2020大会開催を通じて先行研究が指摘する「一九六四年東京五輪の神話」を再活用するためのメモリ・バンクとなった可能性を指摘した(日本体育・スポーツ哲学会第44回大会にて発表)。第2に、これまでの成果について、スポーツ哲学研究オンラインセミナーにて報告し、今後の研究の進め方等について意見交換した。第3に、1964年東京大会聖火リレーについて、日本におけるオリンピック・ムーブメントを再評価することを念頭に、開催都市、開催国にもたらしたものについて検討した(CSSOR第5回カンファレンスにて発表)。第4に、日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会、体育哲学専門領域定例研究会、第45回JOAセッションに参加し、国内外のオリンピック研究の動向に関して情報を収集した。 以上の研究成果については、2023年度中に発刊予定の英文誌に掲載が予定されているとともに、その他にも1編、英文誌への投稿準備を進めている。1964年東京大会聖火リレーの、特に記憶に着目した本研究の成果は、オリンピック・ムーブメントを批判的に検討する枠組みの確立に向けても意義があると考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1964年東京大会聖火リレーが開催都市、開催国にもたらしたものについて資料を分析、考察を進めている。2022年度に執筆した英文誌の発刊が2023年度に持ち越されたものの、年度内の刊行が予定されている。また、2022年度に関連学会で報告した内容についても、英文誌への投稿準備を進めている。新型コロナウィルス感染拡大の影響や2021年度の研究期間中断による遅れが前年度までは生じていたものの、2022年度は国内外における研究活動を概ね順調に進めることができた。特に、カリフォルニア州立大学フラートン校で主催されたCSSOR第5回カンファレンスに参加し、本研究課題の今後の進め方について、海外のオリンピック研究者と意見交換できたことは非常に有益だった。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度も引き続き、1964年東京大会聖火リレーが開催都市、開催国にもたらしたものに関する資料収集とその分析を継続して実施する。研究成果については、国内関連学会で発表する予定である。発表内容については、研究誌への投稿を準備する。1964年東京大会聖火リレーが開催都市:東京以外の地域にもたらしたものに関する調査を行うために、対象とする自治体の選定、資料収集作業も進める。 「記憶」や「想起」に関する先行研究の検討を積み重ね、1964年東京大会聖火リレーの再評価を進めていく計画である1964年東京大会に関する一面的な理解を切り崩し、オリンピック競技大会をはじめとするスポーツ・メガイベントのレガシーと一括りに語られる大会がもたらすものを精査した上で、その実態を明らかにしたい。1964年東京大会聖火リレーに関する各自治体の記録、報道内容、聖火リレー実行委員会における議論など検討することや、1964年東京大会聖火リレーに関わった主要なアクターに焦点を当てた研究に取り組むことによって、本研究課題の最終年度に取り組みむ予定である「オリンピック競技大会がもたらすものについて、オリンピズムを具現化するレガシーの視点から再評価する」試みにつなげていきたい。
|