研究課題/領域番号 |
20K19489
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
金 芝美 日本医科大学, 大学院医学研究科, ポストドクター (00868177)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 身体不活動 / NAD+ / 定期的運動 / 認知機能 / 海馬 / NAMPT |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの研究で血液循環中のNAD+合成系酵素eNAMPTが老化を制御する重要な因子であることが明らかにされているが, 運動による認知機能の改善効果にも有効か否かは不明であることから, 運動が脳内NAD+を調節して身体不活動による認知機能の低下を予防するか否かを解明する必要である. 本研究では, 持久的運動が脂肪組織から循環血中へのeNAMPT放出を高め, 放出されたeNAMPTが脳に取込まれて海馬のNAD+合成を高める. そして不活動由来の認知機能の低下やうつ様症状の発症を定期的な運動が予防する際には, その改善効果には運動による血漿eNAMPTと脳NAD+量の増加が関係するという仮説を立て検証する.
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研究成果の概要 |
本研究では、定期的な運動が脂肪組織からの血中eNAMPT放出を高めて脳内NAD+量を増加させ、このことが不活動による認知機能の低下やうつ様症状を予防するかについて検討した。一過性のトレッドミル走運動強度による血漿eNAMPT量の変化は運動前と比較して低・中・高運動強度の1時間後でeNAMPT量の有意な増加が認められた。また、20週間の不活動飼育は認知機能の低下及びうつ様症状が見られたが、定期的な低強度運動によりこれらの結果を回復させた。これらの結果から低強度運動は血中eNAMPT放出を高めて、このことが不活動による認知機能の低下やうつ様症状を予防に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでの動物を用いて運動不足を調査する研究では、筋萎縮を引き起こすための後肢懸垂とギブス固定の手法を用いる。しかし、これらの方法は動物における深刻なストレスを引き起こし、長期間飼育が難しいため、認知機能とうつ様症状を評価する実験方法では限界があると考えられる。本研究の成果は、我々が考案した新しい身体的不活動モデルがマウスにストレスを与えず、長期間飼育が可能である実験結果を得られた。従って、認知機能およびうつ状態に及ぼす影響を調べるための適切な実験方法で、身体活動制限、ストレス等に伴う脳機能低下に対する運動の予防効果を推奨して行く上で重要な基礎的研究結果となりうることが期待される。
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