研究課題/領域番号 |
20K19491
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
及川 哲志 早稲田大学, スポーツ科学学術院, その他(招聘研究員) (20844997)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 運動 / 骨格筋 / ミトコンドリア / ノンコーディングRNA / lncRNA / 持久性運動 / 血管新生 / 長鎖ノンコーディングRNA |
研究開始時の研究の概要 |
長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)は,タンパク質に翻訳されない全長200塩基以上のRNAであり,多様な生命現象に関与することが報告されている.骨格筋においては,いくつかのlncRNAが骨格筋細胞の増殖や分化を調節することが明らかにされているが,骨格筋の持久性運動適応における役割について検討した報告はない.そこで本研究では,網羅的な変動遺伝子解析や生体骨格筋における機能的スクリーニング,さらにはlncRNAの発現を操作した遺伝子改変マウスを用いた解析から,骨格筋の運動適応におけるlncRNAの生理機能を明らかにすることを目的とする.
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研究実績の概要 |
定期的に持久性運動を行うことで全身のエネルギー代謝が改善することがよく知られており,これには筋線維の遅筋化やミトコンドリア量・活性の増大といったエネルギー代謝に関する骨格筋の適応が寄与している.しかしながらこれら適応の機序は十分に明らかにされていない.運動による骨格筋のエネルギー代謝適応の分子機序を明らかにすることで,肥満や糖尿病といった代謝性疾患の新たな治療標的の開発に貢献することが期待される.長鎖ノンコーディングRNA(long non-coding RNA: lncRNA)はタンパク質へ翻訳されない機能性RNAである.lncRNAは個体の発生や疾患の発症など多彩な生体機能において重要な役割を担うことが報告されている.近年の研究から,骨格筋に発現するlncRNAが筋前駆細胞の増殖や成熟骨格筋への分化,糖や脂質の代謝などを調節すること報告されたが,運動による骨格筋のエネルギー代謝適応におけるlncRNAの役割は不明である.そこで本研究では,運動によって骨格筋で発現が変化するlncRNAを同定し,それらの生理機能および分子機序を明らかにすることを目的としている. 本年度は,前年度に引き続き,RNA-seq解析によって同定した運動誘導性のlncRNAの機能を明らかにするため,in vivoスクリーニングの実験系の構築に取り組んだ.持久性運動トレーニングによって骨格筋が獲得する表現型(筋線維の遅筋化・ミトコンドリア生合成)を模倣する遺伝子改変マウス(PGC-1a過剰発現マウス)の前脛骨筋においてlncRNAの発現を調節し,ミトコンドリア量・活性および筋線維タイプの変化を指標としてlncRNAの機能を検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in vivoスクリーニングに必要な試薬等の調達に遅れが生じたため,PGC-1a過剰発現マウスを用いたin vivoスクリーニングの実験系の構築に時間を要し,当初計画していた筋線維タイプやミトコンドリア量・ 活性を調節するlncRNAの同定まで至らなかったため.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,lncRNAの機能を検討するためのin vivoスクリーニングを実施しており,筋線維タイプおよびミトコンドリア生合成を調節する運動誘導性lncRNAの同定を進めている.この解析が終了した後,lncRNAの発現量を操作した遺伝子改変マウスの作製に取り掛かり,運動による骨格筋のエネルギー代謝適応および全身のエネルギー代謝調節における生理学的な意義を明らかにするとともに,分子機序に関する解析を進める.
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