研究課題/領域番号 |
20K19524
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 福井工業大学 |
研究代表者 |
辻本 典央 福井工業大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (20757520)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | ランニング / 歩行 / 支持期 / 後足部外反 / 地面反力 / 足関節中心 / 足圧分布中心 / 下肢慢性障害 / 後足部 / 外反 / モーメント / 足圧中心 |
研究開始時の研究の概要 |
ランニング時において、足が地面に接地している際(支持期)に発生する後足部外反モーメント(後足部を外反方向に動かす力)の大きさは、下肢慢性障害の一要因と考えられている。しかし、ヒトは通常どの程度の大きさの後足部外反モーメントを受けているのか、また、どの程度のモーメントの大きさになると下肢慢性障害と関係してくるのかについては分かっていない。本研究では、後足部外反モーメントの大規模データを得ることで、後足部外反モーメントの大きさの標準値や、障害リスクに繋がる異常値の基準を作成することを目標としている。
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研究実績の概要 |
ランニング支持期中に地面反力由来の後足部外反モーメントを過度に受けると、過度の後足部外反動作に繋がる。そのため、過度の後足部外反モーメントを受けることは下肢慢性障害に影響すると考えられている。しかし、後足部外反モーメントの測定には地面に埋設された地面反力計が必要であるため、大規模な人数のデータを取得することが難しい。このことから、どの程度の大きさのモーメントを受けると下肢慢性障害のリスクが高まるかについては明らかになっていない。 我々はこれまで、支持期中の足関節中心と足圧中心(COP)の側方距離の値を用いることで、歩行やランニング支持期中の後足部外反モーメントを高精度で推定できることを明らかにしてきた。この手法では、地面反力計の代わりに可搬性の高い足圧分布測定器を用いてモーメントを評価することが可能になると考えられるため、大規模データを取得しやすくなることが期待される。 本研究ではさらに、後足部外反モーメントのより簡易的な推定手法として、ランニング支持期中のCOP側方距離に、予め取得した立位時の足関節中心の側方距離と体重を用いて補正をかけ、モーメントの推定値を算出する手法について検証した。令和2年度に高い精度で推定できる目途が立ち、令和3年度に詳細な検証を行った。その結果、推定値と真の値との間の相関係数は0.903(寄与率0.815)となり、高い精度で推定できることが示された。 令和4年度は実際に足圧分布測定器によって得られたデータを用いて後足部外反モーメントの推定を行い、その精度検証を行っているところである。この手法にて高い精度でのモーメントの推定が可能であるという結果が得られれば、立位時の足関節中心位置を定量化するための足部の写真と、足圧分布測定器で得られるCOPによってモーメントの推定が可能となり、大規模データの取得を行いやすくなることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究ではランニング支持期中の足関節中心とCOPの側方距離の値を用いて後足部外反モーメント(推定値)の大規模データの取得を行うことを目的としていた。ただ、令和2年度に、歩行やランニング支持期中のCOP側方距離に、予め取得した立位時の足関節中心側方距離と体重を用いて補正をかけ、モーメントの推定値を算出する、より簡易的な推定手法を見出し、この手法の精度検証に時間をかけた。そして、令和3年度にその手法の高い推定精度を歩行とランニングの両方において確認することができた。 令和4年度は、より現場において測定しやすい手法とすることを目的に、地面反力計ではなく足圧分布測定器を用いて実施した場合の上記の推定方法の精度を検証してきた。なお、これまで得られた結果から、ランニング時と歩行時のいずれも同様の精度が得られてきたことから、一旦測定が容易な歩行時においてデータ取得を行い、足圧分布測定器を用いた場合の推定精度を検証するというプロセスを取った。令和4年度には50名近くのデータの取得を行うことができ、分析と平行して引き続きデータ収集を行っている最中である。ただ、目標としてはより多くの被験者のデータを取得する予定であったため、予定からはやや遅れが生じている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は引き続きデータ取得を行っていくとともに、足圧分布測定器を用いた歩行支持期中の後足部外反モーメントの推定値を取得し、その精度検証を行う。高い精度が確認できれば、得られたモーメントの値は人によってどの程度異なるのか、その分布を確認する。これにより、後足部外反モーメントの値はどの程度が標準であるのか、どの程度ばらつくのか等が確認できる。 また、被験者の下肢慢性障害に対する既往歴のデータより、得られた後足部外反モーメントの推定値と下肢慢性障害との関係を分析する。これにより、どの程度の後足部外反モーメントを受けると下肢慢性障害と関連するのかについて検証する。 本研究においては多くのデータ数が必要であるため、まずは歩行においてデータ取得を行い分析していく。歩行中の後足部外反モーメントと障害の関係性が確認できた後、ランニングにおいてもデータを取得し、分析を進めていく予定である。
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