研究課題
若手研究
我々ヒトの体のかたちは一人一人が持つ遺伝情報の発現に加え,一人一人が育った環境,運動経験などから受けた影響の総和として捉えることができる.近年,形態計測において3次元人体計測装置が開発され,従来のソマトタイプの体型分類やテープメジャー,マルチン式計測による形態計測とは異なる部位や次元でヒトの体のかたちを客観的,数量的に評価することが可能となった.そこで本研究は従来の手法ではなく,幾何学的形態測定学に基づく相同モデルという新しい視点のアプローチで,① 競技や種目に特化した形態的特徴,②肥満体型の形態的特徴,③加齢および発育発達に伴う形態的特徴を定量的に明らかにすることを目的とする.
令和4年度は、幾何学的形態測定学に基づく相同モデルという新しい視点のアプローチで女子大学生の体の「かたち」を構成する要因を抽出し、その特徴を明らかにすることおよびこれまでの形態計測の方法との妥当性を検討を行った。その結果、以下のことが明らかになった。①主成分分析の結果、個人差を表す体の「かたち」の90.8%を18個のPCによって説明され、PC12までの成分で81.8%の体の「かたち」変化を説明した。②BMI19.3と同値であっても胸部、臀部、体幹背部および大腿部で40mm、腹部で16mmの大きな形状変化を示した。以上のことから、女子大生の体の「かたち」を相同モデルを用いて総合的に概観した結果、従来の解剖学的特徴点を基準とした人体寸法や人体形状の測度やその変量に捉えられない、胸部、腹部、臀部、大腿上部や体幹背部が複合的な影響によって、体の「かたち」を形成していることが明らかとなった。痩身体型や標準体型では体の「かたち」の個人差が大きな傾向を示したが、体幹背部や大腿部、肥満体型は、身体の末端部よりも腹部、臀部といった体幹部と大腿部の下腿に脂肪が蓄積しやすい傾向が明らかとなり、体の「かたち」を決定付ける大きな影響を与える部位として重要であることを明らかにできたことは、令和4年度の成果である。
3: やや遅れている
令和4年度は、新型コロナウイルスの世界的感染拡大の状況等から、交付申請書作成時点で記載した研究実施内容の競技団体との調整が困難であったため、計測方法の確認やデータ分析の方法論について検討を重ね、当初の研究計画内容から変更を余儀なくされた。しかしながら、本研究計画を速やかに実行できる研究環境が整っており、すでに本研究の提案の予備実験は着手済みだったため、結果的に一般人のデータ、併せて50名近いデータを修得することができたため、「やや遅れている」とした。さらにデータ数を確保することは今後の課題である。
補助事業の目的をより精緻に達成するための研究の実施(追加(再現)実験の実施や学会参加、論文投稿など) のため1年間延長し、次年度も引き続き精力的に研究を追行し、さらに計測環境、特にデータ処理などの研究環境を改善して本研究の成果を発表して行く予定である。
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体育学研究
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地域連携共同研究所年報
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