研究課題/領域番号 |
20K19590
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
|
研究機関 | 東京大学 (2021-2022) 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター (2020) |
研究代表者 |
竹村 藍 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員 (20845903)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 高強度運動 / 軽度な高気圧酸素 / 分泌型免疫グロブリンA / 血圧 / 心拍数 / 血中酸素飽和度 / 酸化ストレス / コルチゾール / リカバリー |
研究開始時の研究の概要 |
継続的な運動によって、筋力の維持、免疫機能や有酸素的代謝の向上、うつ症状の改善などが報告されている。運動・トレーニングによるこれらの変化を効果的に得るために、運動・トレーニング後にどのようにリカバリーを行うかの検討は重要な課題である。本研究では、全身運動後に生じる筋損傷や疲労感、筋痛、筋力や免疫力の一時的な低下などに対して、軽度な高気圧酸素の環境下への滞在が及ぼす影響について明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究は、高強度運動後のリカバリーに対する軽度な高気圧酸素への滞在後に生じる変化を明らかにするためにおこなった。高強度運動によって一時的に唾液中の分泌型免疫グロブリンAやテストステロンが変動することが明らかになっている。分泌型免疫グロブリンAは高強度で長時間の運動の実施によって分泌速度が低下し、免疫機能の評価やストレス測定のための指標として使用することができる。また、テストステロンは筋タンパク質合成を促進するホルモンとして知られる。2022年度は1時間にわたる予備心拍量の75%の負荷のペダリング運動が、分泌型免疫グロブリンAとテストステロンに及ぼす影響を明らかにし、さらに軽度な高気圧酸素がこれらの指標に対して及ぼす影響を検討した。被験者は上述の運動の実施後、1時間にわたって、1気圧、20.9%酸素の通常環境、または、1.3気圧、31.0%酸素の軽度な高気圧酸素の環境下に滞在した。軽度な高気圧酸素は、15分かけて1気圧 (常気圧) から1.3気圧に上昇し、その後30分間1.3気圧を維持したのちに15分かけて常気圧に戻る環境を使用した。1時間にわたる予備心拍量の75%の負荷のペダリング運動の結果、分泌型免疫グロブリンAの変動は生じず、運動直後から1時間後の分泌型免疫グロブリンAの変化量・変化率に軽度な高気圧酸素への滞在による影響は認められなかった。また、運動で上昇した唾液中テストステロンは、軽度な高気圧酸素の有無に関わらず運動後1時間で有意に低下した。これらの結果から、高強度運動後の軽度な高気圧酸素への滞在は、唾液中の分泌型免疫グロブリンAとテストステロンの分泌に影響を及ぼさないことが明らかになった。本研究は高強度運動後に軽度な高気圧酸素への滞在が免疫機能に及ぼす影響を明らかにしたものであり、実際の現場で軽度な高気圧酸素を使用する際の基礎的なデータとなる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
軽度な高気圧酸素が高強度運動の後に及ぼす影響について明らかにするために、免疫機能の評価やストレス測定のための指標として使用される分泌型免疫グロブリンAに及ぼす影響を明らかにすることができた。また、骨格筋への酸素供給に関する指標の分析の準備を進めることができた。研究は問題なく順調に進めることができている。
|
今後の研究の推進方策 |
高強度運動軽の軽度な高気圧酸素の影響を明らかにするためには、心循環器系やストレスへの応答に加え、骨格筋でどのような変化が起きているかを明らかにすることが必須である。そこで、2023年度は軽度な高気圧酸素の環境が骨格筋への酸素供給に及ぼす影響ついて明らかにする。
|