研究課題/領域番号 |
20K19634
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 友規 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 特任助教 (30750343)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | フレイル / サルコペニア / アクションリサーチ / 地域在住高齢者 / ジェロントロジー / フレイルチェック / 老年学 / 地域 / 介入研究 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者のフレイル予防において、医療や社会保障に過度に頼らない「住民主体でも有効な介入を施す方法論」が必要である。本研究では、全国規模で導入されているフレイルの早期発見プログラム『高齢住民サポーター主体のフレイルチェック』を基盤とし、自治体と共同して住民主体の複合介入プログラムを開発、フレイル兆候のある高齢者の多面的な機能維持・向上への有効性を検討する。さらに各導入自治体が既存リソースを活かしながらプログラム開発をしていける汎用性のある方法論(ガイドや事例集)を構築する。本研究成果を全国のフレイルチェック導入自治体に還元し、全国規模でのエビデンスに基づく複合プログラムの実践につなげる。
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研究実績の概要 |
高齢者のフレイル予防において、医療や社会保障に過度に頼らない「住民主体でも有効な介入を施す方法論」が必要である。その中にあって、高齢者のフレイル 予防に向けて、早期発見プログラム『高齢住民サポーター主体のフレイルチェック(FC)』が全国数多の自治体で展開されている。本研究では以下の3つの視点 を軸に進めていく。①FC導入モデル自治体にて、フレイル予防への有効性が期待できる栄養・運動・社会参加等の複合プログラムを、自治体内の既存事業を活か せる形で新規開発する。②プログラムの参加者に対する多面的な機能向上への効果検証を行う。③プログラムの開発過程と新知見を実践ガイドとしてまとめ、全国への自治体導入に受けての汎用性のある情報発信を行う。以上により、FC導入自治体が、エビデンスに基づく複合プログラムを応用実践し易くすることで、健 康寿命延伸に寄与することを目指すことが本研究の目的である。 現状までに、FC導入自治体の東京都西東京市にて、栄養・運動・社会参加の複合的介入プログラムの有効性を検証した。複合プログラム参加者の前後比較では、栄養・運動・社会参加に関する行動変容や、一部の身体機能の改善につながることを見出した。また、FC導入複数自治体(千葉県柏市、東京都西東京市、神奈川県平塚市)においてFC複数回参加者では介護認定ハザード率が有意に軽減していることを明らかにした。さらに、同様にFC導入自治体である神奈川県平塚市にて展開してきた、フレイルの口腔機能の側面(オーラルフレイル)対策を重視したカムカム教室においても、栄養・運動・社会参加の同様の視点を取り入れ、参加者のフレイル予防にも有効である可能性を見出してきた。また、一部の地域に限りオーラルフレイル・フレイル予防に関する啓発や教室を集中実施し、地域のオーラルフレイル発症率やフレイルの進行軽減に有効であることを見出してきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究4年目最終年度までに、FC導入自治体一つである東京都西東京市にて、既存の栄養・運動・社会参加の複合的介入プログラムの有効性を検証し、結果としてFCに複数回参加し、栄養・運動・社会参加の複合プログラム不参加者と比べると、複合プログラム参加者の前後比較を実施した結果、栄養・運動・社会参加に関する行動変容や、一部の身体機能の改善につながることを見出してきた。また、FC導入複数自治体(千葉県柏市、東京都西東京市、神奈川県平塚市)においてFC複数回参加者では介護認定ハザード率が有意に軽減していることを明らかにした。また、同様にFC導入自治体である神奈川県平塚市にて展開してきた、フレイルの口腔機能の側面(オーラルフレイル)対策を重視したカムカム教室においても、栄養・運動・社会参加の同様の視点を取り入れ、参加者のフレイル予防にも有効である可能性を見出してきた。市内の一部の地域に限りオーラルフレイル・フレイル予防に関する啓発や教室を集中実施し、地域のオーラルフレイル発症率やフレイルの進行軽減に有効であることを見出してきた。以上から、栄養・運動・社会参加の複合的介入に限らず、地域全土に啓発を含めて施すことが、様々な高齢住民のフレイル予防・介護予防にも貢献できる可能性が複数の自治体から検証してきた。しかしながら、これらの成果を他自治体が導入できるような方法論の確立と提案がまだ完了していないため、研究期間の延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、2020~23年度の4年間を費やし、フレイルチェックの評価機能(赤信号数)と人的資源(フレイルサポーター)を活用して、全国のフレイルチェッ ク導入自治体がモデル自治体と同程度の複合プログラムを独自に開発でき、実践につなげるための「ガイド」を作成することを目指している。研究期間中に予定していた「住民主体-複合介入プログ ラムの多面的な機能維持・向上への効果検証」に関しては、自体体が独自に実施していた複合介入プログラムの効果検証を、複数自体体分の既存データを解析することで検証し、実際に十分な検証成果を得られた。これらの結果により、栄養・運動・社会参加の視点からの介入の有効性および外的妥当性も確認できた。今後は、これらの成果をフレイルチェック全自治体向け『複合介入プログラム開発・実践ガイド』の作成を目指す。本ガイドをフレイルチェック導入全自治体に還元することで、各自治体が自身のフレイルチェックの結果(赤信号数等)を活用して推定介入効果も算出可能となるため、行政的な予算確 保や効果検証にも貢献することが期待できる。
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