研究課題/領域番号 |
20K19646
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 十文字学園女子大学 |
研究代表者 |
倉若 美咲樹 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 助教 (80851633)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ピルビン酸 / 培養肝細胞 / 糖質・脂質代謝 / ミトコンドリア / 酸素消費量 / アナプレロシス |
研究開始時の研究の概要 |
ピルビン酸は嫌気的解糖の終末産物であり、クエン酸回路、糖新生経路などの岐路に立つ中間代謝物である。ヒト血中にも存在し、近年では痩身用健康食品等の素材やミトコンドリア病症状改善薬の候補とされている。しかし、細胞外ピルビン酸の作用と機構には不明点が多い。本研究は、ピルビン酸の代謝調節因子としての役割と機構を、ヒト肝がん由来細胞HepG2を用いて追究する。本研究の実施により、ピルビン酸の代謝調節因子としての新規機能が明らかとなり、栄養生化学領域の学問的進展への寄与とともに、ピルビン酸の健康の維持増進への応用、ミトコンドリア関連疾患の改善への新たな糸口が得られると期待される。
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研究実績の概要 |
ピルビン酸は嫌気的解糖の終末産物であり、エネルギー栄養素代謝経路の岐路に立つ重要な中間代謝物である。ヒト血中にも存在し、近年ではミトコンドリア病症状改善薬の候補とされているが、細胞外ピルビン酸の作用と機構には不明点が多い。これまでの研究で、細胞外ピルビン酸が生理的濃度(0.1 mM)から濃度依存的にヒト肝がん由来細胞HepG2によるグルコースの消費を促進することを明らかにしてきた。本研究では、細胞外ピルビン酸のグルコース消費促進作用を中心とし、代謝調節因子としての役割と機構を、HepG2を用いて追究することを目的とした。 今年度は、ピルビン酸作用の機序解明と新たな機能性素材等の探索に向け、ピルビン酸類縁の生体内有機酸がHepG2の糖質・脂質代謝に与える影響について検討した。対象とした有機酸は、ピルビン酸以外に乳酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸、クエン酸、α-ケトグルタル酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸とした。添加濃度はいずれも0.1、1 mMとした。細胞のグルコース消費については、ピルビン酸、リンゴ酸、プロピオン酸で促進作用がみられた。乳酸、酢酸、酪酸については、グルコースの消費を抑制した。細胞内中性脂肪蓄積については、検討したすべての有機酸(1 mM添加)で増加が確認された。細胞内グリコーゲン蓄積については、酪酸添加群で増加が観察された。乳酸生成量については、ピルビン酸、リンゴ酸、プロピオン酸、クエン酸群で増加が確認された。今回検討した有機酸の中で、リンゴ酸はピルビン酸と類似した結果を得られた。リンゴ酸は生体内でリンゴ酸酵素によりピルビン酸と相互変換されているが、ピルビン酸とリンゴ酸の関係を精査していくことにより、肝細胞におけるピルビン酸による代謝調節機構の機序解明につながると考えられた。引き続き、今年度得られた成果を足掛かりとし、さらなる検討を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度(2020年度)からの新型コロナウイルス感染症流行による入構禁止措置や、これに付随する各種学務等対応による研究の遅れが生じており、その分当初の計画よりも後ろ倒しとなっている。これにより実験の一部と成果の公表が遅れているため「遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度については、研究計画③「ピルビン酸作用の基質特異性の検討」において、2022年度内に実施できなかった項目について検討を進める。具体的には、各種代謝産物に対する試験において応答のあった有機酸を中心に、糖質・脂質代謝に関連する遺伝子・タンパク質発現への影響について検討する。ピルビン酸による代謝調節作用の機序について追及するとともに、ピルビン酸類縁の生体内有機酸のもつ新規機能性の探索を引き続き進める。また、研究成果の取りまとめと公表も同時に行う。
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