研究課題/領域番号 |
20K19655
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 自治医科大学 (2022) 金城学院大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
北村 祐貴 自治医科大学, 医学部, 講師 (80802553)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | サルナシ / パーキンソン病 / プロテオミクス解析 / 抗酸化 / 天然化合物 / 2D-DIGE / カルボニル化タンパク質 / Actinidia arguta / 二次元電気泳動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は、パーキンソン病モデルマウスに対して、小ぶりで無毛なキウイフルーツに似た果実であるサルナシ果汁の経口投与が発症予防に効果を示すかを検証するとともに、中脳黒質組織でのタンパク質の発現量解析を行い、発症予防に関与しているタンパク質を明らかにする研究である。さらに、神経細胞死を抑制する有効物質をサルナシ果汁から単離・同定することで、サルナシ果汁によるパーキンソン病の予防法の開発を行う研究である。
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研究実績の概要 |
これまでに、1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine(MPTP)誘導型パーキンソン病モデルマウスにおいて、抗酸化作用を持つサルナシ(Actinidia arguta)の果汁を摂取することでMPTPが誘導する運動機能障害およびドパミン作動性神経細胞の減少が抑制されることを明らかにしており、サルナシ果汁がパーキンソン病の発症予防や増悪抑制に寄与する可能性を見出した。また、サルナシ果汁によるパーキンソン病の発症予防効果に関与しているタンパク質を明らかにするために、モデルマウスの中脳黒質組織からタンパク質を抽出し、蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動(2D-DIGE)法によるプロテオミクス解析を行った。その結果、中脳黒質組織においてMPTP投与により発現量が変動したタンパク質のうち、サルナシ果汁の摂取によってその発現量変化が抑制されたタンパク質を複数同定した。本年度は、同定したタンパク質の抗体を用いたウェスタンブロッティング法により定量解析を行った。さらに、ドパミン作動性神経細胞であるN27細胞を用いた実験において、サルナシ果汁の酢酸エチル抽出物には抗酸化作用を持ち、過酸化水素による細胞死を抑制する物質が存在していることを明らかにした。この酢酸エチル抽出物に含まれる有効成分を明らかにするために、高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いて酢酸エチル抽出物の精製および分取を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、2D-DIGE法により同定されたタンパク質の抗体を用いてウェスタンブロッティング法による定量解析を行い、MPTPによって発現量が変動したタンパク質のなかで、サルナシ果汁の摂取によってその発現量変化が抑制されたタンパク質を複数確認した。今後は、中脳黒質組織切片を用いた免疫組織化学染色を行い、タンパク質発現の局在について観察する。また、サルナシ果汁の酢酸エチル抽出物から神経細胞死の抑制効果を示す有効成分の精製・同定する実験に着手したが、精製に必要なHPLCの準備ならびに分析の条件設定に時間を要した。現在はサルナシ果汁の酢酸エチル抽出物から複数のピークを精製し、それぞれのピークを分取している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、免疫組織化学染色を行い、中脳黒質組織部におけるタンパク質の発現変化を観察する。また、栃木県産業技術センターに設置されているHPLCを用いて酢酸エチル抽出物に含まれる神経細胞死の抑制効果を示す有効成分の分取を行う。分取後は、金城学院大学薬学部に設置されている質量分析計(LC-MS)および核磁気共鳴装置(NMR)を用いて有効成分の構造解析を実施する。
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