研究課題/領域番号 |
20K19660
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
三宅 沙知 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (80633859)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | PG-SGA / 外来化学療法 / 体組成 / SMI / 栄養状態 / 早期栄養介入 / 消化器がん / 乳がん / 化学療法 / 栄養介入 / ダイエットカウンセリング / がん患者 / 栄養療法 / 外来がん化学療法患者 |
研究開始時の研究の概要 |
がん患者の良好な栄養状態は、治療効果やQOLの向上に重要な役割を果たしている。外来がん化学療法患者に対する栄養療法については十分に確立されておらず、対応が急務である。本研究では、がん患者の栄養評価法に特化した「PG-SGA」を用いて、栄養介入を必要とする患者の早期抽出を行い、それに基づいた適切な栄養介入を実施する。さらに、栄養状態を客観的かつ主観的に評価し、継続することで、外来がん化学療法患者向けのより効果的な栄養療法を明らかにしていく。この研究によって、在宅での自己管理能力を高めることを目指すだけでなく、不可逆的となる栄養状態の悪化を遅らせる新たな栄養療法プログラムの確立を目指す。
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研究実績の概要 |
外来通院で化学療法を受けるがん患者には栄養状態の低下が懸念される者も少なくないが、入院患者へのNSTサポートに相当する栄養管理は十分に行われていない。本研究では、外来がん化学療法患者の標準的な栄養指導を目指し、栄養介入のプロトコール作成および栄養療法の確立のための基礎資料を得ることを目的としている。 これまでに、がん患者向けの栄養アセスメントツール(Patient Generated Subjective Global Assessment:以下PG-SGA)は、疾患部位に関係なく栄養介入を必要とする患者の早期抽出に有用であることを明らかにしてきた。また、管理栄養士による継続的な栄養介入は、食事摂取量の増加や体重減少抑制といった一定の効果をもたらすが、栄養介入の頻度による栄養関連指標に有意な差はみられなかった。そこで、外来がん化学療法患者92例を対象にPG-SGAと栄養関連指標、栄養素等摂取量との関連を検証したところ、PG-SGAは特に体格や体組成の変化を反映しており、PG-SGA総合計点数は、SMI(四肢骨格筋量)の減少と強い負の相関(p<0.05)を示した。しかし、SMI減少の有無と栄養素等摂取量には有意な差はみられなかった。疾患別にみると、胃がん患者ではBMI、体脂肪指数、大腸がん患者では、ChE、CRP、乳がん患者ではBMI、SMI、体脂肪指数、Alb、ChE、T-Choに有意な相関(p<0.05)が認められ、栄養素等摂取量と栄養介入の必要性の高さにはいずれも関連がみられなかった。このことから、栄養関連指標においては疾患部位、特にレジメン内容によって指標の解釈を検討する必要が示唆された。今後は、有害事象における食欲低下などの症状別について細分化し、消耗が著しい外来がん化学療法患者に対する栄養療法についての対応の模索を行うことを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和4年度3月までに実施予定であった外来がん化学療法患者における体組成の変化を含めたがんの疾患部位別の栄養状態の検証を行っている状況である。また、管理栄養士の人員配置移動に伴う調整も必要となり、研究体制構築までに至らず当初の計画よりも大幅に開始が遅れた。また、本研究課題は可能な限り化学療法導入時における栄養介入効果を目指したものであるが、化学療法を開始する患者数が減少し、検証に必要な新規患者数の獲得には結びついていない状況にある。引き続き評価に関わる環境整備を継続するとともに、後方視的研究を実施する。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに治療を受けてきたがん患者に対する診療情報を振り返って調査および解析していく後方視的研究と、新規患者の獲得を目指す。今年度は、外来がん化学療法患者の各疾患の状態に即した実践可能な栄養介入方法について模索するために、がん患者における継続的な栄養介入効果についても調査した。その結果をもとに、化学療法患者の栄養状態の推移を疾患部位、症状別に分類し、体組成分析、栄養素等摂取量に差がみられるか解析を行う。得られた結果を査読付きJournalに投稿および学会発表予定である。
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