研究課題/領域番号 |
20K19669
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大野 博 筑波大学, 医学医療系, 助教 (20847909)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 脂肪酸 / スフィンゴ脂質 / 神経幹細胞 / 脳 / マイクロドメイン / 脂質ラフト |
研究開始時の研究の概要 |
Elovl6は脂肪酸の炭素鎖長をC16からC18へ伸長する酵素である。脳特異的Elovl6欠損マウスでは神経新生の低下と記憶・学習障害が認められる。また、神経幹細胞培養では、Elovl6の欠損により神経幹細胞の自己複製能の低下が認めらる。そこで、本研究では、Elovl6による神経幹細胞の自己複製能の制御に重要な脂質およびその構成脂肪酸分子種をリピドミクス解析により特定し、その分子メカニズムを解明する。さらに、特定した脂質分子をElovl6欠損マウス、老化マウスやアルツハイマー病モデルマウスへ投与して神経新生の回復が認められるかを検討する。
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研究成果の概要 |
本課題では、中枢神経特異的Elovl6欠損(BKO)マウスて認められる神経新生の低下メカニズムを分子レベルで明らかにすることを目的とした。神経幹細胞を対象に脂質メタボローム解析をおこなったところ、BKO由来の神経幹細胞では、細胞膜におけるナノドメインの構成に重要な脂質が大きく変動しており、特定の脂質分子種の阻害剤により自己複製能が回復した。またナノドメインの分画を評価したところ、BKO由来の神経幹細胞ではナノドメインの分画が変化しており、脂質分子種の阻害剤により分画が正常化した。したがって、Elovl6は細胞膜のナノドメインの構成を制御することでシグナル伝達の再構成を担う可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
認知機能の低下は現代社会における大きな問題の1つである。本研究において神経新生の制御メカニズムを分子レベルで明らかにすることは、認知機能の低下に対する脂質の質の重要性を明らかにしたという点で意義がある。さらに、脂肪酸組成の制御による認知機能維持機構の解明は、これまで特定の神経やその受容体を標的とした精神・神経疾患の治療とは大きく異なり、より広範で副作用の少ない新規治療法の開発に貢献できる可能性が示唆される。
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