研究課題/領域番号 |
20K19685
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
木村 篤史 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 兼任講師 (10840259)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白 / ミトコンドリア / オリゴマー / ビタミンB12 / 抗酸化作用 / SBM / MRI / Voxel-Based Morphometry / 健康食品 / ビタミン / 核磁気共鳴画像 |
研究開始時の研究の概要 |
アルツハイマー病(AD)の病態は未解明だが、アミロイドβの多量体であるオリゴマー(Amyloid β oligomers、以下Aβo)の異常凝集による毒性に近年注目が集まっている(オリゴマー仮説)。 またビタミンB12(VB12)は中枢神経における神経保護作用が示唆されはじめており、オリゴマー仮説の台頭より再注目されている。 本研究では、ADのVB12による治療法確立に向け、VB12のAβo誘発性神経毒性に対する保護作用の機序を基礎実験で解明し、その裏付けとして実臨床における心理検査・画像検査を組み合わせ、安価で誰もが入手でき長期使用可能なVB12によるADの予防および進行抑制作用を明らかにする。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、臨床面では引き続き物忘れ外来におけるビタミンB12と認知機能障害の関連についてのデータ収集を行った。これまで未解析であったデータを解析済みのデータと統合し、対象数を増やすことで検定精度の向上を目指した。結果は早期のアルツハイマー病における幾つかの脳領域でビタミンB12が関連する可能性を示唆しており、昨年度の傾向と大きく変わることがないことを確認した。この成果は” Vitamin B12 may inhibit the neurotoxicity of Amyloid beta oligomers and protect memory function”のタイトルで第64回日本神経学会学術大会で発表し、795演題から最優秀演題候補セッション6演題の1つに選出され、高い評価を受けた。また、基礎研究においては、神経細胞モデルにおけるHMW-Aβo誘発性神経細胞障害モデルに対するビタミンB12による毒性抑制機序の解明を進めた。結果は”From clinic to cell: Cobalamin's multi-faceted approach to understanding defense against amyloid beta oligomer neurotoxicity”として国際アルツハイマー病・パーキンソン病学会(AD/PD 2024) - International Conference on Alzheimer's and Parkinson's Diseases and related neurological disorders にて発表した。アルツハイマー病が臨床的に発症する前に潜在期間として数十年がかかることを踏まえ,ビタミンB12は特に認知症に至る危険性の高い軽度認知機能障害患者やその更に早期である前臨床期(Preclinical)における有効な治療法になる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、基礎実験のデータはほぼ出揃っており、臨床データについてはコロナ禍の影響で予定数の達成が想定よりやや後倒しとなったものの、収集自体は完了している。データの解析結果は、前述の通り昨年から傾向は概ね変わらず、ビタミンB12によるアミロイドβオリゴマーの毒性抑制効果が証明された。しかし一方で、その作用部位などについては、仮説と異なる結果が出ているため、確認実験を行うなど論文化に向けて引き続き細かい修正が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は臨床での残存する収集データの解析、及びその結果の解釈を行う。 特に脳微小構造の解析については、技術の発展に伴い解析可能な要素が研究計画時より増えており、可能であれば新規定量値も積極的に取り入れ結果の精度向上に役立てたい。また、自施設のデータにより客観性を持たせるため、オープンアクセスのデータベースとの比較が可能であれば行う予定である。基礎研究の結果はほぼ結果が出ているため、上記の臨床データと併せて引き続き論文作成を行う。論文投稿先候補はすでに決定しており、本年中に投稿予定である。
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