研究課題/領域番号 |
20K19729
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 関西大学 (2021-2023) 桃山学院教育大学 (2020) |
研究代表者 |
村上 祐介 関西大学, 文学部, 准教授 (10780190)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 身体性教育 / 学習環境 / ウェルビーイング / 身体教育 / イス / 人生の意味 / エンゲージメント / 姿勢 |
研究開始時の研究の概要 |
青少年のウェルビーイングを高める方途が模索されているが,例えば,心理的ウェルビーイングの中核である「人生の意味」の介入において,認知的アプローチ(例:人生の意味を熟考)には課題が散見される。一方,日常におけるポジティブ感情は人生の意味の促進要因となる。こうした感情状態の基盤となる身体性に着目すると,立腰姿勢は学習への感情的エンゲージメント(没頭・興味)や快情動を高める。本研究ではこれらの知見を有機的に組み合わせ,青少年が学習場面で自律的に「立腰」姿勢を維持することが,ポジティブ感情を増幅させ,人生の意味(ウェルビーイング)を向上させることを明らかにする。
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研究実績の概要 |
【具体的内容】 2023年度は介入研究を1件実施した。立身姿勢を補助する「立身」イスによる介入が,中学生の身体的姿勢,授業への集中,精神的健康等を改善するかを検討した。対象は公立中学校2年生の2学級であり,48名を分析の対象とした。参加者は,立身イス条件と,学級備え付けの通常イス条件とを1週間毎に入れ替え,合計5週間を教室で過ごし,毎週金曜日のホームルーム時に,その日の身体的姿勢,授業への集中度,ポジティブ感情,人生の意味感についての自記式質問紙に回答した。介入条件を固定効果,生徒個人をランダム効果,性別と学級を統制変数とする混合効果モデルによる分析を行った。分析の結果,「今日の授業中,自分の(体の)姿勢を良くしようと意識した」,「今日の授業中,背筋が伸びた」,「授業中,余計な体の力が抜けた」等の身体的姿勢の指標について介入効果が示唆された。また,補足的に行った混合効果モデルによる分析を通じて,授業中に姿勢を良くしようと意識した程度と,集中力(授業が終わる時間を気にしない)や人生の意味感との間に正の関連が示された。いっぽう,立身イスと通常イスでは,今後の継続使用意図や,快適度に差があるとは言えないことが明らかになった。 【意義・重要性】 先行研究では,一定の教員が,子どもの姿勢指導の重要性を認識していることが明らかになっていたものの,効果的な介入方略には検討の余地を残していた。本研究を通じて,学習イスという学習環境を調整することで,思春期の生徒の姿勢改善をサポートできることを明らかにした。特に本研究では,生徒ごとの元々の姿勢の良し悪しのばらつきや,生徒ごとのイスから得られる姿勢に対する効果のばらつきを考慮してもなお,立身イスによる姿勢補助効果が確認された。今後は,より広範な対象者へと研究の範囲を広げ,これらの効果が頑健なものかどうかを実証する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に実施した1件の応用研究については,現在,論文投稿に向け準備を行っている段階である。また,従来の研究成果の蓄積から,2024年度にも,引き続き協力校で介入研究を1件実施する予定である。当初の最低限の目標である介入研究の実施は継続して達成できており,論文化にやや遅れは見られるものの投稿準備は進められていることから,おおむね順調に進展しているものと判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2024年度は,過年度の介入研究の成果を踏まえ,生徒が自律的に姿勢調整を行えるよう,立身イスと身体性教育を組み合わせた介入を開発し,パイロットスタディを行う予定である。また,2023年度の研究成果について,論文投稿の準備を進めている。
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