研究課題/領域番号 |
20K19730
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 武庫川女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
横路 三有紀 武庫川女子大学短期大学部, 食生活学科, 講師 (80757188)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ADMA / 高齢者 / サルコペニア / 血管内皮機能 / 野菜摂取 / HEI-2015 / 食品多様性スコア / PSQI / 食品多様性 / 栄養教育 / 地域在住高齢者 / 健康教育 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、血管内皮機能に着目したサルコペニア予防に対する栄養教育プログラムの開発を目指す。まず、地域在住高齢者を対象としてサルコペニア発症と血管内皮機能指標、食事因子の関連性を解析する。続いて、インタビュー調査により望ましい食事摂取における促進要因、阻害要因を把握する。3~4年目は、それらの結果をもとに栄養教育プログラムを計画・介入し、評価する。
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研究実績の概要 |
昨年度、地域在住女性高齢者において血中ADMA濃度が高い人ほどサルコペニアの罹患率が高いことや2年後の骨格筋の減少が認められることを示すデータが得られた。しかし、血中ADMA濃度と食事摂取との関連は明らかになっていない。 本年度はまず、血管内皮機能、血管機能をキーワードとして、それらを改善する食事や食品成分に関する系統的レビュー論文の探索を行った。結果、カリウム摂取量、食品に含まれる硝酸塩や亜硝酸塩が血管機能に良い影響を与えることが報告されていた。カリウムだけでなく、硝酸塩や亜硝酸塩は根菜や葉物野菜など野菜類に多く含まれることが明らかとなっている。我々は非肥満糖尿病(DM)患者において尿中Na/K比と血中ADMA濃度が正の関連を示すこと、一人暮らし高齢者は同居高齢者に比し、男女とも野菜類の摂取頻度が低下することを報告している。これらより、血管内皮機能に着目したサルコペニア予防のための栄養教育として、2023年度に一人暮らし高齢者を対象に野菜摂取を促す栄養教育を実施することを計画している。 次に、インスリン注射をしていない2型糖尿病患者を対象として、これまで報告されている食事法(Healthy Eating Index 2015, HEI-2015; 地中海食; Dietary Approaches to Stop Hypertension, DASH)と血中ADMA濃度の関連を解析した。結果、非肥満DM群ではHEI-2015スコアと血中ADMA濃度に有意な負の関連が示されたが、肥満DM群では認められなかった。地中海食スコアやDASHスコアと血中ADMA濃度は非肥満DM群、肥満群DM群どちらにおいても関連は認められなかった。以上より、HEI-2015に則った食事法は血中ADMA濃度の低下に有用である可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は産休・育休から復帰し、血中ADMA濃度とサルコペニアの関連についての論文をまとめることができた。それにより、栄養教育の実施に向けた研究を進めることができた。当初の計画では、地域在住高齢者を対象としてインタビュー調査を実施し、食生活状況について質的研究を行う予定であったが、高齢者との密な接触はまだ難しく、インタビュー調査はできなかった。しかし、文献的レビューや糖尿病患者を対象とした解析において、血中ADMA濃度や血管内皮機能に影響する食事要因を抽出することができた。 また、今年度は感染対策を実施したうえで高齢者関連イベントが再開されため、次年度に向けて一人暮らし高齢者を対象とした栄養教育を計画することができた。身体計測項目は、昼食会会場のスペースや時間的制約を受け、当初計画した通りの詳細な計測は難しいが、サルコペニアの診断や野菜摂取量に関する必要最低限の測定は実施予定としている。栄養教育の介入研究計画はすでに学内の倫理委員会の承認を得ており、2023年3~9月まで実施する予定である。 当初の予定と異なる部分もあるが、おおむね順調に研究目的に即した研究活動が実施できていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は一人暮らし高齢者を対象に、野菜摂取を促すことを目的とした栄養教育を実施し、教育効果の評価したいと考えている。しかし、2023年3月に食事調査協力者を募集したところ、その他の地域でのイベントとの重複が原因で予定していた人数よりも食事調査協力者数は少なくなった。しかし、身体計測のみの参加者は予定していた人数を集めることができた。状況等を踏まえつつ、可能であればこれまでできていなかったインタビュー調査を実施したいと考えている。 また、血中ADMA濃度とHEI-2015の関連については論文投稿ができるように進める予定である。
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